現代語訳

・サタの粗長のアシナツチ※と妻のテニツキ※には八人の娘がいたが、その生い立ちはあまりにも悲しいものであった

※以下は和歌における「掛詞」の技法で二重の意味が含まれていると推測される

【訳文その一】

・ヒカワの上の八重谷には、常に叢雲が立ち昇っていた
 ・また、その頂きに繁る松・榧の中にはヤマタノオロチ※が居た
 ・そして、オロチをはじめ、ハハ(蛇類)やカガチ(蛇類)の人身供として既に7娘が捧げられた

【訳文その二】

・ヒカワノカミ(アメオシヒ※)の治める八重谷には、常に叢雲(禍々しい雰囲気)が漂っていた
 ・また、曲者の蔓延る上層部の中にはオロチ(愚霊)が居た
 ・そして、オロチをはじめ、ハハ(蝕霊)やカガチ(屈霊)の人身供として既に7娘が捧げられた


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用語解説

・アシナツチ:アカツチの弟で、イナダヒメの父。『記紀』でいう、アシナヅチに当たる
・テニツキ:アシナツチの妻で、イナダヒメの母。『記紀』でいう、テナヅチに当たる
・ヤマタノオロチ:ねじ曲がった愚霊・八俣に分岐した蛇。後にハヤコが恨みから化けた大蛇であることが記される
・アメオシヒ:サホコチタル国のマスヒトで、部下であるシラヒト・コクミ(罪人)の影響で悪事に手を染める

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原文(漢字読み下し)

・サタの粗長(あれをさ)
・アシナツチ 添(そを)のテニツキ
・八姫(やめ)生(う)めと 生(お)い立(た)ちかぬる
・悲(かな)しさは

・簸川(ひかわ)の上(かみ)の
・八重谷(やゑたに)は 常(つね)に叢雲(むらくも)
・立(た)ち昇(のほ)り 背(そひら)に茂(しけ)る
・松(まつ)・榧(かや)の 中(なか)に八岐(やまた)の
・蛇(おろち)居(ゐ)て ハハやカガチの
・人身供(ひとみけ)と 恙(つつか)せらるる
・七娘(ななむすめ)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります