現代語訳

ニニキネはヰツサキミヤにハコネカミを三年祀って、オキツボノミネから眺めて詔をした
 ・「汝、ヤマクヒ※はヤマウシロの野を掘って池を造り、土をここに上げよ
 ・そしてオオヒノヤマ(ハラミ山)を写す(模倣)するべし」
・それから60年が経ち、"ヒヱノヤマ"が出来あがった
 ・掘った後の池水が田のソロ(稲)の水に使われて実ったため、"ミソロイケ"と呼ばれた
 ・これはママアリイケ(自然の池)の西境にある
・その後、食す5品(五穀)を厳選し、枝川から水を堰から入れて荒地を活かし、ナルカミを分けて鎮めた
・よって、カグツチミヅハメの生んだ葵葉と桂(火水の清祓)を以って、アマテルが詔した
 ・「アメ(陽陰)は巡り照らす故、すべてはイカツチ分けて恵みの神を生む
 ・これはトコタチに代わる新たなる功績、そこでニニキネ"ワケイカツチノアマキミ※"の名を与えよう」
ニニキネは、これによって尊名とヲシテを賜った

<<前   次>>

用語解説

・ヤマクヒ:ニニキネの命によって山背の野を開拓し、ヒヱノヤマを造成した。『記紀』でいうオオヤマクイに当たる
・ワケイカツチノアマキミ:ニニキネの八州巡りの功績を讃えて与えられた尊名(上賀茂神社の祭神と推測される)

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

・ハラ央君(をきみ) 伊豆崎宮(ゐつさきみや)に
・運廻神(はこねかみ) 三年(みとせ)祭(まつ)りて
・オキツボの 峰(みね)より眺(なか)め
・御言宣(みことのり) 汝(なんち)ヤマクヒ
・山後(やまうしろ) 野(の)お堀(ほ)り土(つち)お
・ここに上(あ)け 太陽(おおひ)の山(やま)お
・写(うつ)すへし

・一枝(ひとゑ)に足(た)り
・ヒヱの山(やま) その池水(いけみつ)か
・田(た)のソロに 和(の)りて実(みの)れは
・ミソロ池(いけ) まま在(あ)り池(いけ)の
・西場(にしいわ)や

・実(み)食(は)む五品(ゐしな)お
・厳別(ゐつわ)けて 流(なか)す枝川(ゐしかわ)
・堰(せ)き入(い)れて 粗地(あれわお)お活(い)けて
・鳴神(なるかみ)お 別(わ)けて鎮(しつ)むる
・カグツチと ミヅハメお生(う)む
・葵葉(あおいは)と 桂(かつら)に妹背(いせ)の
・御言宣(みことのり)

・陽陰(あめ)は振(ふ)り照(て)り
・全(まつた)きは 怒(いか)つ霊(ち)別(わ)けて
・神(かみ)お生(う)む これトコタチの
・更(さら)の稜威(ゐつ) ワケイカツチの
・天君(きみ)と ヲシテ賜(たま)わる

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります