現代語訳

【コヱ国ハラミ山の文(こゑくにはらみやまのあや)】

・そもそもニニキネ※がニハリ宮とツクバを治めてから3鈴2050年(18万2050年)が経っていた
・(そこで、ニニキネはこのように思った)
 ・「思えば民は増やしたものの、田を増やさなかったために糧が足らなくなっていた
 ・平場(平野)の生田は水が絶えないが、高田は雨が降らないと種が育たず絶えてしまう
 ・故に川上の水を渡して運ばなければ朽ちてしまうだろう」
・そのため、井堰を建てて堤を築き山水を引いて高田を開拓しようとした
・そこで、ニニキネイツノカモフネ※を出してイセに着け、アマテルに巡幸の許可を請うた
 ・しかし、アマテルが許さなかったため、ニニキネはイセに仮住まいすることにした
・そこで、ニニキネは、ヤマタノタカク(高倉山)のミヤカワ(宮川)の上から井堰、堤を築いた
 ・すると、タカノを田とすると、5年の内に瑞穂が成った
 ・また、他に18箇所の井堰を造成した
・こうしたニニキネの成果を見たアマテルは「ヤシマを巡幸せよ」と詔を発した

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用語解説

・ニニキネ:オシホミミの二男であり、『記紀』でいうニニギに当たる
・イツノカモフネ:鴨が足を前後に掻いて泳ぐように、櫂で漕ぐ船とされる

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原文(漢字読み下し)

【コヱ国(くに)ハラミ山(やま)の文(あや)】

・そもそもに 御孫(みまこ)ニニキネ
・ニハリ宮(みや) ツクバに治(をさ)む
・年(とし)すてに 三鈴二千五十(みすすふちゐそ)
・つらつらと 思(おも)せは民(たみ)の
・増(ふ)ゆる程(ほと) 田(た)は増(ま)さぬ故(ゆえ)
・糧(かて)足(た)らす

・平場(ひらは)の生田(おた)は
・水(みつ)絶(た)えす 高田(たかた)は雨(あめ)の
・降(ふ)らぬ年(とし) 種(たね)お滅(ほろ)ほす
・川上(かわかみ)の 水(みつ)お懸樋(かけひ)に
・運(はこ)はせと これも朽(く)つれは

・堰(いせき)建(た)て 堤(つつみ)築(きつ)きて
・山水(みつ)お 取(と)りて高田(たかた)お
・拓(ひら)かんと 逸(いつ)のカモ船(ふね)
・イセに着(つ)け 巡幸(めく)り乞(こ)えとも
・大御神(ををんかみ) 許(ゆる)さすここに
・仮住(かりすま)ゐ

・山田(やまた)のタカク
・ミヤ川(かわ)の 上(かみ)より堰(いせき)
・堤(つつみ)築(きつ)き 遂(つい)に高野(たかの)お
・田(た)となせは 五年(ゐとせ)の内(うち)に
・瑞穂(みつほ)成(な)る

・他(ほか)に十八処(そやか)の
・堰(いせき)成(な)る 時(とき)に和照(あまて)る
・御言宣(みことのり) 八州(やしま)巡幸(めく)れと
・告(ふ)れ給(たま)ふ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります