現代語訳

【嘗事の文(なめことのあや)】

・あるとき、ツキスミのシガノミコトが、ヱトノカミ※におけるトヨリノノト※の所以を問うた
・すると、トヨケ※が答えて"ナメコト※(嘗言)"について説明した
 ・「"ヱ(兄)"の嘗は北にあって11月(冬至)に1陽を招いて3陰1陽となす
 ・なれば、カツメカミ(地球の傾きの守)が舵を北に率いて日(太陽)を迎え入れる
 ・このウイナメ(初嘗)は今の宣歌に言うこれである
  ・『九星祀ってヲメグリ(陽巡り)にクロマメヰヒ(黒豆飯)の力を添う』
 ・12月には1陽は地中に充ちて、木は根を伸ばす
 ・それでも地上は なお寒く、月末になれば地表に陽が充ち満ちて、少しずつ陽気は広がる
 ・だが、まだ地上は寒く、潤いを得られぬままに"ヱ"の治めは終わる」

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用語解説

・ヱトノカミ:ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの8兄弟を指す
・トヨリノノト:ヱトノカミの宣において、弟の「ト尊」から始まる宣りのこと
・トヨケ:イサナミの父であり、5代目タカミムスビに当たる。いわゆる豊受大神に当たり、多大な功績を遺した
・ナメコト:マツリ(祭・政)に同じとされる(古代は祭政一致であった)

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原文(漢字読み下し)

【嘗事(なめこと)の文(あや)】

・ツキスミの シガの尊(かみ)か
・兄弟(ゑと)の神(かみ) 弟(と)よりの宣(のと)の
・故(かれ)お問(と)ふ 故(かれ)にトヨケの
・嘗事(なめこと)そ

・ヱの嘗(なめ)は北(ね)に
・十一月(しも)の中(なか) 一陽(ひうお)お招(まね)けは 
・傾守(かつめかみ) 舵(かち)お北(ね)に率(ひ)き
・日(ひ)お迎(むか)ふ

・この初嘗(ういなめ)は
・今(いま)の宣(のと) 九星(こほし)纏(まつ)りて
・陽回(をめく)りに 黒豆飯(くろまめゐひ)の
・力(ちから)添(そ)ふ

・十二月(しわす)地(はに)に充(み)つ
・木(き)は根(ね)差(さ)す なお空(そら)寒(さむ)く
・月末(つきすえ)は 上(かゐ)みなき聳(そ)ひ
・弥々(よよ)開(ひら)く

・また空(そら)寒(さむ)く
・潤(うるほ)お得(ゑ)す 弥々(よよ)嘗(なめ)尽(つ)くる

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります