ホツマツタヱ8文 霊還し ハタレ打つ文:タケミカツチによるヰツナミチ戦(猿神)【8】
現代語訳
・今度はハタレがイヨの山からキシヰ国に渡り、迫ってくるとの報告がトノミヤ(突宮)に入った
・そこで、諸守を集めてカミハカリ※(守議)が行われ、その結果 タケミカツチが選出された
・アマテルはタケミカツチにフトマカリ(ふと環=揚餅)を授けて「急いで討伐せよ」と命令し、タカノ(高野)に派遣した
・タカノではヰツナミチ※が万の獣に取り憑いて勢力を増やしていた
・タケミカツチはタカノに到って、ヰツナミチと対峙した
・すると、ハタレカミが進み出て「シムミチ・イソラミチの二人を還せ、さもなくば神を捕るぞ」と脅してきた
・タケミカツチは笑いながら「我が力は万に優れて雷も汝も拉ぐ、大人しく縄を受けよ」と返答した
・ハタレは怒って戦が始まると、カミイクサ(官軍)が戦場にフトマカリ(揚餅)を投げ入れた
・するとハタレはフトマカリを夢中で貪り始めたので、この隙に攻め追い詰めて皆 捕らえてしまった
・そして、ヰツナミチの頭領もワラヒナワ(蕨縄)で捕らえた
・捕らえたハタレは百一連に結んでまとめ、計9900人を縛り上げた
・その様子はヒヨトリ草のようであった
・タケミカツチは、これらの捕虜を引き連れて自ら山に登った
・その際、皆首がしまって死んでしまう者が多発したため、死んだ者は山に埋めた
・また、生き残った100人は、ササヤマの牢屋に入れておいた
・そして、タケミカツチは故意では無かったものの、多くのハタレを殺してしまったことを悔いて喪に服した
・それを聞いたアマテルは、御子のクマノクスヒ※を現地に遣わして様子を訪ねさせた
・タケミカツチは「我は過ちを犯して、万のモノマを殺してしまった」と告げた
・そこで、クマノクスヒが「それは人だったのですか?」と問うた
・すると、タケミカツチは「"人のような者"だった」と答えた
・クマノクスヒが帰って報告すると、アマテルは自らササヤマの牢屋に出向いてモノマ※を確認した
・そのモノマの姿は、形はマサル※(真猿)、顔は犬であった
・出自を問うと「昔、先祖の母は真猿に嫁いだと聞きます、そのため代を経て皆猿のようになりました」と答えた
・そこでアマテルは詔を発した
・「タマカエシ※(霊還し)をすれば人となるだろう
・また、以前に死んだ者たちもタマノヲ※を解けば人に生まれるであろう」
・すると100人のモノマは皆「アマテル神よ、ぜひとも我々を人にしてください」と願って、死んでいった
用語解説
・カミハカリ:諸々の司が物事を相談するための会議を指す。(このカミは生者であり、民を守る司なので「守」を当てる)
・ヰツナミチ:ムハタレの一つで、イヅナが人や獣に憑いて化けたものを指す(イヅナは管狐を指すが、ホツマでは猿神を指す)
・クマノクスヒ:アマテルの御子の一人で、イサナギによってクマノカミ(イサナミ)の祭主を任じられた
・モノマ:悪霊の類に憑かれて化物と化した者(ハタレマと同義)
・タマカエシ:タマノヲの乱れを解き、迷える魂魄(タマシヰ)をアメノミヤヰ(死後に還る場所)に導く方法を指す
・マサル:猿のような者(類似する奇妙な伝承として「キヒサル」というものがある)
・タマノヲ:魂(霊体)と魄(肉体)の結合部分を指し、これが切れると死が訪れ、乱れると人に転生できなくなるという
原文(漢字読み下し)
・またハタレ イヨの山(やま)より
・キシヰ国(くに) 渡(わた)り迫(せむ)むるを
・突宮(とつみや)の 告(つ)げに諸(もろ)会(あ)い
・守議(かみはかり)り かねて奏(かなて)の
・御言宣(みことのり) タケミカツチに
・ふと環(まかり) 賜(たま)えば急(いそ)き
・奏(かな)てんと タカノに到(いた)る
・ヰツナミチ 万(よろ)の獣(けもの)に
・化(は)け懸(か)かる ミカツチ行(い)けは
・ハタレ頭(かみ) 進(すす)みて曰(いわ)く
・先(さき)二人(ふたり) 我(われ)に返(かえ)せよ
・返(かえ)さすは 神(かみ)も捕(と)らんそ
・ミカツチか 笑(わら)いて曰(いわ)く
・我(わ)か力(ちから) 万(よろ)に優(すく)れて
・雷(いかつち)も 汝(なんち)も拉(ひし)く
・縄(なわ)受(う)けよ ハタレ怒(いか)りて
・戦(たたか)えは 御方(みかた)の投(な)くる
・ふと環(まかり) 群(む)れ貧(むさほ)りて
・ハタレマを 撃(う)ち追(お)ひ詰(つ)めて
・みな括(くく)り 遂(つい)にイツナも
・蕨縄(わらひなわ)
・百一連(ももひとつれ)に
・結(ゆ)ひ統(す)へて 九千九百(ここちこもも)お
・継(つ)き縛(しは)り ヒヨトリ草(くさ)の
・如(こと)くなり 自(みつか)ら山(やま)に
・引(ひ)き登(のほ)る 皆(みな)首締(くひしま)り
・罷(まか)る者(もの) 山(やま)に埋(うつ)みて
・生(い)き残(のこ)る 百(もも)ササ山(やま)に
・ツツガなす
・奏(かなて)で枯(か)らせる
・誤(あやまち)と 喪(も)に謹(つつし)むを
・聞(き)こし召(め)し 御子(みこ)のクスヒに
・訪(と)わしむる 臣(とみ)誤(あやま)ちて
・万(よろ)モノマ 引(ひ)き枯(か)らしけり
・またクスヒ それは人(ひと)かや
・如(こと)くなり
・返言(かえこと)あれは
・大御神(ををんかみ) ツツ屋(や)に到(いた)り
・見給(あたま)えは 形(かたち)は真猿(まさる)
・顔(かほ)は犬(いぬ) その原(もと)聞(き)けは
・昔(むかし)母(はは) 真猿(まさる)に婚(とつ)き
・代々(よよ)お経(へ)て 皆(みな)猿(さる)如(こと)く
・御言宣(みことのり) 霊還(たまかえ)しせは
・人(ひと)成(な)らん 先(さき)に罷(まか)るも
・結(を)お解(と)きて 人(ひと)に生(う)まるそ
・時(とき)に百(もも) 願(ねか)わくは神(かみ)
・人(ひと)に成(な)し 給(たま)われと皆(みな)
・罷(まか)れけり
現代語訳文の目的・留意点
・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
スポンサーリンク
スポンサーリンク
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿