ホツマツタヱ13文 ワカヒコ 妹背鈴明の文:苦しみとは?(輪廻の原理)【7】
現代語訳
・続いてカルキミ(オホナムチ)は「では、そなたのいう"苦しみ"とは何だ?」と尋ねた
・これにカスガは説明した
・「昔、トヨケ※から このような詔がありました
・『我 三代を知っている(過去世を指す)
・初代はクニノトコタチ※で、天に逝ってミヲヤを軸に周るモトアケ※(元明)の守を定めた
・二代はタカミムスビのキノトコタチ※で、100万年の天寿を経てタマノヲ※の和合を司った
・今のタマキネ(トヨケ)も8万歳、欲を貪ることも無く、ユキキノミチ※も覚えて知っている
・"メヲオムスブ(陰陽結ぶ)"、これにてヒトココロ(人心)の行方が決まる
・世(天)に還る時にその生涯が真直ぐであれば、また良く生まれるであろう
・しかし、欲にまみれていれば往来の道から外れ、遂には還れなくなるだろう』」
・カルキミは「火は陽に還り、水は陰に還ると言ったが、ならば人も区別無く人の本質に帰れるのでは無いのか?」と言った
・カスガは答えた
・「ハグサ(莠)やオノコクサ(雑草の類)が傍にあると、稲や粟は成りません
・これと同様に、人も穢物に感化されると、ユキキノミチ(転生の法)も忘れてしまうのです
・例えば、人がカラシムシを嗜めば、魚・鳥・獣の道に向ってしまうでしょう」
・カルキミは「そうであれば、財は何のためにあるのだ?」と問うた
・カスガは答えた
・「ホメハ(褒衣)を得れば物欲に耽ることでしょう
・こうした者が、稀に人として生まれ変わっても、心が貧しく、やはり衣食の虜となります
・そのため、心を蔑(ないがしろ)にして、人であることに喜びを得られなくなるでしょう
・また、物欲に耽(ふけ)る者の財を、羨(うらや)む者が出てきます
・この念がハタレとなって咬む故に、タマノヲが乱れて やがてはハタレの代わりにシヰ(魄)が苦しみます
・その苦しみが、心を獣に変えたとしても、神はこれに手を下しません
・例えば、悪夢に魘(うな)されたとして、その圧迫に耐えられずに分別なく死んでいくようなものです
・故に、自己の欲から来る苦しみとは、他人では無く、自分のタマノヲの記憶に責められる長い悪夢ということです」
用語解説
・トヨケ:イサナミの父であり、五代目タカミムスビに当たる。いわゆる豊受大神に当たり、多大な功績を遺した
・クニトコタチ:古の独り神の総称であり、トヨケはクニトコタチの転生であると自覚しているという
・キノトコタチ:ハコクニの子で、初代タカミムスビを指す
・モトアケ:回帰する所・原点・起点・起源などの意味合いを指す
・タマノヲ:"魂(霊魂)と魄(肉体)の結合部分"や"心(精神)"といった意味合いを指す
・ユキキノミチ:天と現世を行来する法則のこと(いわゆる輪廻転生のこと)
原文(漢字読み下し)
・苦(くる)しみは何(なに)
・カスガ説(と)く 昔(むかし)トヨケの
・御言宣(みことのり) 我(われ)三代(みよ)を知(し)る
・初(はつ)の代(よ)は クニトコタチそ
・天(あめ)に逝(ゆ)き 周(みる)る元明(もとあけ)の
・守(もり)定(さた)め
・二代(ふた)ムスビの
・百万寿(もよろほき) 逝(ゆ)きて霊(たま)の結(を)
・和(なお)すを聞(き)く
・今(いま)タマキネも
・八万歳(やよろとし) 欲(よく)に貪(むさほ)る
・心(こころ)無(な)く 往(ゆ)き来(き)の道(みち)も
・覚(おほ)ゑ知(し)る
・陰陽(め)を結(むす)ひて
・人心(ひとこころ) 世(よ)に還(かえ)る時(とき)
・直(す)くなれば また良(よ)く生(う)まれ
・汚欲(よこほし)は あゑ還(かえ)らぬそ
・また問(と)わく 火(ひ)は陽(を)に還(かえ)り
・水(みつ)は陰(め)に 人(ひと)は人実(ひとみ)に
・還(かえ)らんか
・曰(いわ)く莠(はくさ)や
・オノコ草(くさ) 稲(ゐね)・栗(あわ)成(な)らす
・あやかりて 人(ひと)も生(う)まるる
・道(みち)忘(わす)る 例(たと)えは嗜(たし)む
・枯(か)らし虫(むし) 魚(うお)・鳥(とり)・獣(けもの)
・合(あ)い求(もと)む
・てれは財(たから)は
・何(なん)のため
・褒衣(ほめ)・美味(うま)きに
・耽(ふけ)る故(ゆえ) 稀(まれ)に生(う)まるも
・貧(まつ)しくて 奴(やつこ)となりて
・実(み)お凌(しの)き 人(ひと)楽(たの)します
・右(か)の欲(ほし)を 羨(から)む人(ひと)か
・咬(か)む故(ゆえ)に 霊(たま)の結乱(をみた)れ
・旋風(つちかせ)の 岐(ちまた)に魄(しゐ)の
・苦(くる)しみか 獣(けもの)となるそ
・神(かみ)打(う)たす
・例(たと)えは夢(ゆめ)の
・魘(おそ)われの 忍(しの)ひ難(かた)くて
・弁(わきま)えす 罷(まか)るの詰(つみ)も
・圧(おそ)われそ
・他人(ひと)を惑(まと)わす
・我(わ)か欲(ほし)も 他人(ひと)は打(う)たねと
・霊(たま)の結(を)に 覚(おほ)ゑ責(せ)められ
・長(なか)き夢(ゆめ)
現代語訳文の目的・留意点
・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
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