現代語訳

・(カスガは話を妹背の道に戻しながら説明した)
 ・「アメノマツリ※(陽陰の纏り)を奉じなさい(心に神座を設けて日月の神を祀れるようにしておくべし)
 ・カハネノミヤ(屍の宮)に日月(陽陰)の神座を儲けておけば、タマノヲが解けて人となります
  ・纏りが無ければ、日月の恵みから漏れて落ちることになるでしょう
 ・子を持ちなさい、もし妻が生まなくて種が途絶えそうならば、妾を置いて種を成しなさい
  ・妾となる女の務めとは"妻(正妻)を敬うこと"です
  ・妾は星に擬えられ、星は光を発しますが、それは月には敵いません、月とは妻(正妻)です
  ・そのため、美しくとも宮(本宮)に入れてはなりません
 ・アマノハラ(天空)に月を並べ立てれば地が乱れます
  ・これと同様に、妻と妾を同じ屋に入れれば、家が乱れることになるでしょう
 ・月はヨル(夜霊)です、妻が疎まなければ内が治まります
  ・よって、妾は家のことに口を出してはなりません
  ・子を生む妾は、生まぬときには数多の星々と同じようなもの、口を出せば平和が乱れます
  ・往来の君の后も星(アマテルと12后の関係)となりました、これに倣えば平和を乱すことは無いのです
 ・良い女とは、姿が美しくて心が粗末な者ではなく、姿が醜くても心の美しい者を指します
  ・こうした女にこそ、良いミヤビがあるので、装いを観て選ぶことが大切です
 ・このように、妹背の道は陽陰の浮橋をよく渡す神の教えでございます
 ・以上が、妹背の道の大旨である故、これにて説明を終わらせていただきます」

<<前   次>>

用語解説

・アメノマツリ:陽陰(日月・神)を世に祀ること、天地(あの世とこの世)の調和・統合などの意味を指す

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

・陽陰(あめ)の纏(まつ)りを
・奉(た)ておけよ 屍(かはね)の宮(みや)に
・神座(かんくら)を 設(もふ)せは結解(をと)け
・人(ひと)なるそ

・纏(まつ)り無(な)けれは
・陽陰(あま)恵(めく)み 漏(も)れて落(お)つるそ

・子(こ)お持(も)てよ もし妻(つま)生(う)ます
・種(たね)絶(た)えは 妾女(めかけめ)置(お)きて
・種(たね)なせよ

・妾(めかけ)となれる
・女(め)の務(つと)め 妻(つま)を敬(うやま)え
・妾女(めかけめ)は 星(ほし)に擬(なそら)ふ
・星光(ほしひかり) 月(つき)に及(およ)はす
・美(うつく)しも 宮(みや)にな入(い)れそ

・天(あま)の原(はら) 月(つき)並(なら)ふれは
・地乱(くにみた)る 妻(つま)と妾(めかけ)と
・屋(や)に入(い)れは 家(いゑ)を乱(みた)るそ

・月(つき)は夜霊(よる) 妻(つま)な疎(うと)みそ
・内治(うちをさ)む

・妾(めかけ)の言葉(ことは)
・な政(まつ)りそ 子(こ)お生(う)む守(もり)は
・生(う)まぬ時(とき) 棄(す)つる群星(むらほし)
・範(のり)乱(みた)る

・往(い)んし和尊(あまかみ)
・星(ほし)となる これは範成(のりなす)す

・女(め)の姿(すかた) 良(よ)くて粗(あ)るるも
・醜(みにく)きに 良(よ)きミヤビあり
・装(よそお)ひに な踏(ふ)み迷(まよ)ひそ

・妹背(いせ)の道(みち) 陽陰(あま)のうきはし
・よく渡(わた)す 神(かみ)の教(をし)ゑの
・妹背(いもをせ)の 道(みち)の大旨(おおむね)
・通(とほ)るこれなり

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります