ヲシテ文献の現代語訳を終えた上で、ヲシテ文献の主要な内容と読み方(楽しみ方)を紹介しておきたいと思います。

ヲシテ文献に記される内容


ヲシテ文献の内容を ざっくりとまとめると以下のようになります。

神代から景行朝までの皇国の歴史(いわゆる「日本神話」に当たる)
ワカ・アワウタの原理(和歌の本来の作用や、天文との関係性など)
祭礼・儀礼・慣習の起源説話
神代の道徳・法律(刑法など)
神代の学問における知識(天文・地文・呪術・哲学・医学・生物学・生理学など)
神代の暦法(スス暦・アスス暦)
神代の寸法・建築法
古代の官制(主に人の巻の中に記される)
古代の災害の記録(主に人の巻の中に記される)ほか

ヲシテ文献は学術的な研究が進められていないため、内容に関する具体的な定義は無いようです。よって、内容を真とするか偽とするかは読者次第ということになると思います。

なお、内容に記される「食と健康」に関する記述の一部は個人的に検証済みですので、個人的には"一定の信憑性はある"と思っています。

他文献と比較して読む


いわゆる「日本神話」を記す史料には以下のようなものがあります(主要なもののみ)。

『古事記』712年成立、太安万侶 著、天地開闢から推古天皇までの歴史(一級史料)
『日本書紀』720年成立、舎人親王 著、天地開闢から持統天皇までの歴史(一級史料、正史)
『古語拾遺』807年成立、斎部広成 著、天地開闢から天武天皇までの歴史の要約
『先代旧事本紀(旧事紀)』推古朝成立、蘇我馬子・聖徳太子 著 天地開闢から推古天皇までの歴史(平安期成立説あり)

※リンクより、各史書の内容を参照することが出来ます

ヲシテ文献の『ホツマツタヱ』『ミカサフミ』には上記の史書の内容を包括する歴史が記されています。

個人的に検証してみたところ、『ホツマツタヱ』は「いわゆる出雲神話(出雲の神々の説話)」を除く ほとんどの説話を含んでおり、上記の史書を全て併せても『ホツマツタヱ』全体の3割強という結果が出ました(『風土記』を除く)。

また、上記の史書にある説話を細かく比較検証すると、説話中の状況や登場人物が異なっていることが分かり、かつ、説話の鍵となるカミ(ヒルコ・トヨケなど)が登場していないことから、説話の流れに矛盾が生じていたりしています。

ここでは、現在主要とされている史書の史料批判をするつもりはありませんが、ヲシテ文献には古代史研究においても未だに知られていない内容が多く含まれていると推測でき、ここから導き出される真相もあるように思われます。

よって、一級史料の情報とは別に、ヲシテ文献から推測される日本史を考察するのも面白いのではないでしょうか?

フィールドワークを楽しむ


日本国内の多くの神社は、その由緒や祭神を『記紀(古事記・日本書紀)』に由来するとしているケースが多いです。

しかし、『記紀』に記される神話の舞台とされる地域が限られていることから、全国的に有名な神社でも その由緒がアヤフヤなケースが多々あります(熊野大社・熊野三山・香取神宮・鹿島神宮・春日大社・浅間大社・氷川神社などなど)

ヲシテ文献には こうした神社の由緒となりえる説話が記されているため、ここから歴史の流れを追って由緒を推測することも可能になると思われます。

よって、ヲシテ文献の知識を以って全国の古社を巡ると、未だ明らかになっていない面白い発見が出来るかもしれません。

全部読むまで結論を出さない


ヲシテ文献には、『記紀』をはじめとする史料に記される説話と類似する内容が記されています。しかし、ヲシテ文献は『記紀』のように時系列に沿って記されるのではなく、テーマ別に分類して記されるというスタイルをとっています。

よって、時系列が分かり辛かったり、説話の重複が見られることが往々にしてあります(一応、文の冒頭に時期を示す一節が記される)。そのため、翻訳中に推測した流れを悉く覆され、最後まで全容が読み取れませんでした。

こうしたことから、ヲシテ文献の理解は まるでジグソーパズルを組み立てるかの如く難解なものです。反面、ある程度理解出来れば、ジグソーパズルが組み上がった時のように それなりに爽快感もあります。

故に、読み始めたら読み終えるまで じっくりと読み続けることが重要だと思われます。