現代語訳

・(万君も一人の命に)変わり無ければ、年老いてからの楽しみもある
・ココナシ(菊)が枯れる如く芳しく万歳を経れば、枯れる時の菊の如く香るのである
・(時にミカツチ※は言った)
 ・「ヒメ※よ、汝の夫の身の丈はどのくらいだ?」
ヒメは答えて言った
 ・「予ねてより12尺5指(約3.78m)であると知っております
 ・これはアマテラス神(アマテル)の身丈と我が夫(コヤネ※)が同じ丈だからです
 ・それを知った時の嬉しさは二度と無いでしょう」
・こうして、父と娘は違え合わす如く笑みす顔となった
・その時、主(ミカツチ)は御饗を催してコモリ※を持て成して話をした
 ・「我が身の丈は16尺(約4.84m)ある
 ・そして、雷が轟き通るように知れ渡る功を褒められてヨヨノカナメノイシツツにカフツツツルギを賜った
 ・このミカツチの世に知れる渡り名は、ユミトリノモノノヘカミのカナメイシである
 ・これは"常盤の守るアマカミの汚穢の祓いの先駆け"であり、フツヌシカミ※も倣うものであった」

※尺寸の数値は現在の物を適応しているが、文献上における詳しい数値は不明である

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用語解説

・ミカツチ:ヲバシリの子であり、ムハタレ討伐やカシマ立ちで活躍する。『記紀』でいうタケミカヅチに当たる
・ヒメ:タケミカツチの一人娘で、アマノコヤネの妻となる。斎名は無いためヒメと呼ばれ、区別のために君・上が付く
・コヤネ:カスガの尊名。後にタケミカツチの娘と結婚する。『記紀』でいうアメノコヤネに当たる
・コモリ:クシヒコの子で、後に3代目オオモノヌシとなる。18男18女の子を養育した功績により、コモリカミとなる
・フツヌシカミ:アマノコヤネの叔父に当たり、『日本書紀』でいうフツヌシに当たる

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原文(漢字読み下し)

・変(か)わり無(な)けれは
・年寄(としよ)りて その楽(たの)しあり
・菊(ここなし)の 枯(か)るる如(こと)くに
・芳(かんは)しく 万歳(よろとし)経(ふ)れは
・罷(まか)る身(み)の 菊(ここな)の如(こと)く
・香(かほ)るなり

・ヒメ汝(なんち) 背(せな)なの身(み)の丈(たけ)
・幾(いく)はくそ ヒメの答(こた)えは
・予(かね)て知(し)る 十二尺五指(そふたゐゆひ)は
・和照(あまて)らす 神(かみ)の身(み)丈(たけ)と
・我(われ)か背子と いとかけまくも
・同(おな)し丈(たけ) 覚(おほ)ふ嬉(うれ)しさ
・また有(あ)らし 違(たか)え合(あわ)せし
・笑(ゑ)みす顔(かほ) その時(とき)主(あるし)
・御饗(みあゑ)して コモリもてなす
・物語(ものかた)り 我(わ)か身(み)の丈(たけ)は
・十六尺(そむた)あり

・雷(いかつち)か 轟(ととろ)き通(とほ)る
・功(ゐさおし)お 揺(よよ)の要(かなめ)の
・石槌(いしつつ)に 枯治剣(かふつつつるき)
・賜(たま)ふなり

・ミカツチの 鳴(な)り渡(わた)る名(な)の
・弓取(ゆみと)りの モノノベ守(かみ)の
・要大人(かなめいし) 常磐(ときわ)に守(まも)る
・和尊(あまかみ)の 汚穢(よよ)の禊(みそき)の
・先駆(さきかけ)は フツヌシ尊(かみ)も
・倣(なら)ふなりけり

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります