現代語訳

・(垂仁)32年(上鈴720年)
 ・7月6日、后のヒハスヒメが罷った
 ・回送りの際、君は諸臣を召して「以前のオヒカレ(追枯)は好くないと思う、この行いをどうしようか?」と詔した
  ・そのとき、ノミノスクネ※が「生きる者を埋める例に代わる、好い方法を考えたいと思います」と申し上げた
 ・そこで、(ノミは)出雲のハシヘ(埴仕侍)を100人召して、ハニテコ※(埴偶)および種々の形を造って奉った
  ・そして「今より後は、ハシモノ※(埴仕物)を生者の代わりに陵に埋めて例と成しましょう」と提案した
 ・ノミの提案に君は喜んで、「汝の方策は我が心に好く合う」と詔した
  ・故にハニワノタテモノ※を後の例として定め、ノミノスクネを篤く褒めてカタシトコロを与え、埴仕の司とした

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用語解説

・ノミノスクネ:ウカツクヌの子で、アメノホヒ十四世の孫。『日本書紀』でいうノミノスクネに当たる
・ハニテコ:埴の作り物(土偶・埴輪の類を指すと思われるが、考古学上では埴輪は古墳時代からとされる)
・ハシモノ:埴で作ったもの
・ハニワノタテモノ:埴製の奉納品

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原文(漢字読み下し)

・三十二年七月(みそふほふつき)
・六日(むか)罷(まか)る 后(きさき)ヒハスの
・回送(みおく)りは 諸臣(もろとみ)召(め)して
・御言宣(みことのり) 先(さき)の追枯(おひかれ)
・好(よ)からねは この行(ゆ)ひは
・如何(いか)にせん ノミのスクネか
・申(もふ)さくは 生(い)けるお埋(う)む
・例(ためし)とは あに良(よ)からんや
・図(はか)らんと

・出雲(いつも)の埴仕侍(はしへ)
・百(もも)召(め)して 埴偶(はにてこ)およひ
・種々(くさくさ)の 形(かたち)造(つく)りて
・奉(たてまつ)る 今(いま)より後(のち)は
・埴仕物(はしもの)お 生(い)けるに代(か)えて
・陵(みささき)に 埋(う)えて例(ため)しと
・成(な)すへしや

・君(きみ)喜(よろこ)ひて
・御言宣(みことのり) 汝(なんち)か図(はか)り
・我(わ)か心(こころ) 好(よ)しと埴生(はにわ)の
・奉物(たてもの)お 後(のち)の例(ため)しと
・定(さた)まりて ノミのスクネお
・篤(あつ)く褒(ほ)め 鍛(かた)し所(ところ)お
・賜(たま)わりて 埴仕(つか)の司(つかさ)そ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります