ホツマツタヱ7文 遺し文 清汚を立つ文:天岩戸【10】
現代語訳
・ソサノヲは益々怒り、さらに穢れを蹴散らした
・これに、アマテルは恐れを成して、遂にイワムロ(結室)に入って扉を閉ざした
・すると、天下は明暗も無い暗黒に包まれた
・この暗黒に驚いたヤスカワのオモイカネ※は松明で明りを確保して、子のタチカラヲ※に問うた
・「タカマにて会議を開いて祈るのが良いか?」
・すると、ツハモノヌシ※が このように提案した
・「真榊の上枝にはニタマ※(熟玉)、中枝にはマフツノカガミ※、下枝にニキテ※(和幣)を掛けて祈るのが良いでしょう
・また、ウスメ※(ウス侍)らにヒカケ(日陰蔓)を襷にチマキホコ(茅巻矛)を持たせ、オケラ(朮)を庭に炊きましょう
・そして、ササユバナ(笹湯花=湯立神楽)をイワムロのカンクラ(神座)の外で行って、カンカカリ(神篝)をしましょう」
・こうして会議で深く対策が練られた
・その結果、オモイカネはトコヨの踊りの"ナカサキ(長咲)"をしてワサオキ(俳優)に歌わすことを提案した
・「橘の木は枯れても匂う、萎れても好きだ
・これは我が妻と同じようだ
・我が妻の同じく、萎れても好きだ
・我が妻と同じだ」
・諸守はイワムロの前でカシマドリ※(姦踊)をし、「これぞトコヨの"長咲"だ」と言って騒がしく賑やかに踊った
・これを見たアマテルはわずかに笑んで隙間から様子を窺っていると、タチカラヲが咄嗟にイワト(結戸)を投げ捨てた
・そして、アマテルの手を掴んでイワムロから引っ張り出した
・その隙にツハモノヌシがシメナワ(閉縄)を張り、「もう返りましょう」と言った
用語解説
・オモイカネ:タカギの子であり、ヒルコと結婚してタチカラヲを儲ける。アマテルの左臣であり、ヒヨミとして暦を発布する
・タチカラヲ:オモイカネとヒルコの子であり、岩戸隠れ騒動やムハタレ討伐で活躍する
・ツハモノヌシ:トヨケの子であり、ヤソキネ(カンミムスビ)、カンサヒの弟に当たる
・ニタマ:優れた玉、宝石の類を指す
・マフツノカガミ:心を写しだすことが出来るとされる鏡であり、いわゆるヤタノカガミに当たる
・ニキテ:人と神を結ぶことを指し、それをモノサネ(それを顕す物体)として奉納する
・ウスメ:君に仕える侍女を指し、全体的な文面から恐らく個人名では無いと思われる。『記紀』でいう、アメノウズメに当たる
・カシマドリ:賑やかで騒がしい踊りを指す
原文(漢字読み下し)
・ソサノヲは 穢(いわ)お蹴散(けち)らし
・なお怒(いか)る 君(きみ)恐(おそ)れまし
・結室(いわむろ)に 入(い)りて閉(と)させは
・天(あめ)か下(した) 明暗(かか)も紋無(あやな)し
・ヤスカワの 闇(やみ)に驚(おとろ)く
・オモイカネ 灯燃(たひまつ)に馳(は)せ
・子(こ)に問(と)ひて タカマに議(はか)り
・祈(いの)らんや
・ツハモノヌシか
・真榊(まさかき)の 上枝(かんゑ)は熟玉(にたま)
・中(なか)つ枝(ゑ)に マフツの鏡(かかみ)
・下(しも)和幣(にきて) 掛(か)け祈(いの)らんと
・ウス侍(め)らに ヒカケを襷(たすき)
・茅巻矛(ちまきほこ) 朮(おけら)を庭火(にはひ)
・笹湯花(ささゆはな) 神座(かんくら)の外(と)の
・神篝(かんかかり)
・深(ふか)く謀(はか)りて
・オモイカネ トコヨの踊(おと)り
・長咲(なかさき)や 俳優(わさおき)歌(うた)ふ
・橘(かく)の木(き) 枯(か)れても匂(にほ)ゆ
・萎(しほ)れても好(よ)や 吾(あ)か妻(つま)合(あ)わ
・吾(あ)か妻(つま)合(あ)わや
・萎(しほ)れても好(よ)や 吾(あ)か妻(つま)合(あ)わ
・諸守(もろかみ)は 結戸(いはと)の前(まえ)に
・姦踊(かしまとり) これそトコヨの
・長咲(なかさき)や
・君(きみ)笑(ゑ)み 細(ほそ)く
・窺(うかか)えは 結戸(いはと)を投(な)くる
・タチカラヲ 御手(みて)取(と)り出(いた)し
・奉(たてまつ)る ツハモノヌシか
・閉縄(しめなわ)に な返(かえ)りましそ
現代語訳文の目的・留意点
・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
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