現代語訳

・(アマテルは続けた)
・「人は誕生の時、ソムヨロヤチノモノ(16万8千のモノ)が付き添って生まれる
 ・これはモトツカミ(元つ神)が遣わすタエモリ※で、これがモノの種を下し、モノとタマシヰ(魂魄)を結合させる
 ・アナレ(天均神)は人の臓・腑・血・声・成果・容姿・髪を司る
・我が上(太陽)は日月のウル(潤)を下すため、代嗣を生もうと思う時、目の垢を濯いて朝日を拝み、目から月日の潤を得る
 ・その後に交われば陽のウルナミ(潤波)がタマシマカワ(女陰)のイモチ(卵子)とシラホネ(精子)を結び付けて孕む
・父(陽)の波は、母(陰)の和霊と因み合い、昼には霊が昇って 夜には波を立てる
 ・まるで天空を回る月日のように、受精卵に宿る日月の潤も回って行く
・初日は1回転、翌日2回、3回と増え、ひと月には30回へと増え、約64日(3月4日)で回転を満たす
 ・その総計は1080(計算上は2080)と回りを遂げ、ミトリコ(五体を備えた子)の状態となる
 ・和霊と精波の交合の結実はオノコロ(胞衣)となり、胞衣の形は水車のようになる
・また、へその緒となる実柱を、中軸としてほど良く重く巡り駆け、日に1回転ずつ減って行く
 ・そして、3ヵ月末には五体を備え、4ヵ月末には充分に発達する
・5ヵ月目には1回転し、妊婦がサツサハラヲビ(腹帯)を付ける頃には五腑を成す
 ・そして、ナカクダ(中空の器官)を通って日の荒霊、父母の穂(本質)、月の和霊を招き入れる
 ・この3つの霊が睦まじく混ざり合い、露(羊水)が溢れる
・6ヵ月目には乾き、へその緒に血液が通れば身を養育する
 ・血液が煮られれば、ヰイロハニ(五色の埴)を以って守の神が付く
・7ヵ月目にはヰクラ(五臓)・ムラト(腎臓)ができる
・8ヵ月目にはムワタ(六腑)ができる
・9ヵ月目には目が開いてシムソヨヘ(性格)が決まり、声の48音、すなわちアワノウタが備わる
・そして、コソム(九十六)を経て全てを揃え、12ヵ月目に胞衣を脱いで生まれるのだ」

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用語解説

・タエモリ:"元つ神の留守"の略称で、アモトの8神が人に添える守を意味する

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原文(漢字読み下し)

・十六万八千(そむよろやち)の
・モノ添(そ)ひて 人(ひと)生(う)まる時(とき)
・元(もと)つ神(かみ) そのたえ守(もり)か
・種(たね)下(くた)し モノと魂(たま)・魄(しゐ)
・結(ゆ)ひ和(やわ)す

・天均(あなれ)臓(くら)・腑(わた)
・血(しむ)・根隅(ねこゑ) 成果(なりわ)・見目(みめ)・髪(かみ)

・我(わ)か上(かみ)は 日(ひ)・月(つき)の潤(うる)お
・下(くた)す故(ゆゑ) 代嗣(よつき)生(う)まんと
・思(おも)ふ時(とき) 目(め)の垢(あか)濯(そそ)き
・朝日(あさひ)祈(の)り 目(め)より月(つき)・日(ひ)の
・潤(うる)お得(ゑ)て 婚(とつ)けは陽(をせ)の
・潤波(うるなみ)か 玉島川(たましまかわ)の
・陰(いも)か霊(ち)と

・孕(はら)む精髄(しらほね)
・精(ちち)の波(なみ) 穢(はは)の和霊(あかち)と
・因(ちな)み合(あ)ひ 昼(ひる)は霊昇(のほ)り
・夜(よ)は波(なみ)の

・昇(のほ)る日月(ひつき)の
・一回(ひとめく)り 翌日(あす)二回(ふためく)り
・三回(みめく)りと 月(つき)に三十回(みそわ)の
・回(めく)り増(ま)し やや六十四日(むそよか)に
・回(めく)り満(み)つ

・総(す)へて千八十(ちやそ)に
・回(めく)り遂(と)け やや充(みと)り子(こ)の
・態(なり)備(そな)ふ

・因(ちな)みの明(あか)は
・オノコロの 胞衣(ゑな)の形(かたち)は
・河車(かわくるま) 臍(ほそ)の緒(を)となる
・実柱(みはしら)の 程(ほと)好(よ)く重(おも)り
・回(めく)り欠(か)け 日(ひ)に一回(ひとめく)り
・遅(おく)れ減(へ)り 三月(やよゐ)は三十九(みそこ)
・端(はな)お備(そ)ふ

・四月(うつき)満(み)つれは
・充(みと)り達(つ)す

・五月(さつき)サの頃(ころ)
・一回(ひとめく)り サツサ腹帯(はらをひ)
・五腑(ゐわた)成(な)す 中菅(なかくた)通(とほ)る
・陽(あめ)の穂(ほ)と 父母(たらちね)の穂(ほ)と
・陰(め)お招(まね)き 三(み)つの因(ちな)みの
・露(つゆ)溢(あふ)れ

・六月(みなつき)乾(かわ)き
・臍(ほそ)の緒(を)へ 血汁(ちしる)通(とほ)れは
・身(み)お養(ひた)す 血汁(ちしる)熟(に)られて
・五色(ゐついろ)の 埴(はに)もて付(つ)くる
・守(もり)の神(かみ)

・七月(ふつき)臓(くら)・腎(むら)
・八月(はつき)腑(わた) 九月(なかつき)は見目(みめ)
・シム十四経(そよへ) 声(こゑ)の四十八手(よそやち)
・アワの神(かみ)

・総九十六経緯(すへこそむあや)
・備(そな)わりて 十二月(そふ)に胞衣(ゑな)脱(ぬ)き
・生(う)まるなり

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります