現代語訳

・ある日、タケミカツチが御殿にコモリを招いて御響していた時の物語
タケミカツチはこういった
 ・「我は生まれ付き身の丈が一丈六尺(約4.8m)ある
 ・力業に優れ、八尺の人(一般人=約2.4m)らの万引き(一万人必要)の岩も投げることができる
 ・ウツロヰ※(鳴神の主)も拉ぐとして賜ったカフツチ・カナイシツチの二剣も持っている
 ・今思えば、我は翁守(古株の大臣)となっているが、今回 コモリには赤子の道を教えられた
 ・そこで汝を一人前と認め、その返礼としてカフツチを与えようと思う」
・すると、コモリは驚いて このように返事した
 ・「私はこの道の弟子です
 ・師匠たるコヤネの親は、我が親も同然
 ・せっかくですが、お断りします」
・そういって、カフツチの譲渡を受けなかった
タケミカツチは畏まったコモリの様を見て、カフツチの剣を拝んで高く掲げた
・そして笑顔で座ってこう言った
 ・「この縁は、我が娘のヒメが代嗣道を尋ねたことに始まったのだったな
 ・子は宝、なればイキスも知らねばならぬ、これを以ってイキス宮を造ろう
 ・ここにコヤネヒメを置き、我は後宮(カシマ宮)に住み、フツヌシと共にヒタチオビ(直ち帯)を成して授けよう」
タケミカツチがこう宣言すると、門言も整ってコモリは天(中央政府)へと帰って行った

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用語解説

・ウツロヰ:空を治める神で、ナルカミ(雷)を司るとされる

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原文(漢字読み下し)

・ある日(ひ)御殿(みとの)に
・御饗(みあえ)して コモリを招(まね)き
・物語(ものかた)り 我(わ)か生(うま)れ付(つ)き
・身(み)の丈(たけ)も 一丈六尺(ひとけむた)あり
・力業(ちからわさ) 八尺(やた)の人(ひと)らの
・万引(よろひ)きの 岩(いわ)をも投(な)けて
・ウツロイも 挫(ひし)けは賜(たま)ふ
・二剣(ふたつるき)

・今(いま)付(ふ)し見(み)れは
・翁守(をきなかみ) 盛(さか)るコモリと
・比(くら)ふれは 我(われ)は赤子(あかこ)の
・道(みち)受(う)けて  人成(ひとな)る返(か)えの
・石槌(いしつつ)を 進(すす)め敬(うやま)ふ

・時(とき)コモリ 驚(おとろ)き我(われ)は
・道(みち)の弟(お) コヤネの親(をや)も
・我(わ)か親(をや)と 返物(かえもの)受(う)けす

・ミカツチは なお恥(は)ち進(すす)む
・コモリ見(み)て 剣(つるき)を拝(おか)み
・頂(いたた)けは ミカツチ笑(え)みて
・座(くら)なして 纏(まつ)り絶(た)えんを
・姫(ひめ)ありて 代嗣道(よつきみち)聞(き)く
・子(こ)は宝(たから) イキスも知(し)れは
・イキス宮(みや)

・コヤネとヒメと
・ここに置(お)き 我(われ)は後宮(のちや)に
・フツヌシと 直(ひた)ち帯(おひ)成(な)し
・授(さつ)けんと 語(かた)り門言(とこと)も
・調(ととの)ひて コモリは天(あめ)に
・帰(かえ)りけり

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります