ホツマツタヱ16文 孕み謹む帯の文:腹帯の由来【6】
現代語訳
・コモリ※は、ヒメキミ※の孕み子を訪ね見るために宿を取っていた
・ある日、ヒメキミが「オシエノオビ(押えの帯)には、どういう役割があるのですか?」と問うた
・コモリは答えた
・「タマキネ(トヨケ)の教えの帯は、ミミノハ(各々の肉体)の質に合せてクニ(臓器)を治めるものです
・帯は五腑(五色埴)が固まったものであり、男は地に向い、女は天に向かっています
・ハラミノオビ(孕みの帯)は、タマキネが葛城山の代嗣社に御種を得ようと祈りを捧げていた時のこと
・そのとき、天からイトリ(丹斎鳥)が一羽落ちてきて、その息吹で葛城山の木々が紅葉に化けました
・これはアマツノリ(天のお告げ)であるとして、葛城山をイトリヤマ(斎鳥山)と名付けました
・なお、そのイトリの羽先を見れば24筋ありましたが、他の鳥は15筋でした
・また、ヒタカミに鶴を奉る者が羽先を見れば、これも24筋ありました
・故にその羽を撚り繋いで、雄鶴(陽)を経に、雌鶴(陰)を緯にして、ケフノホソヌノ(経緯の臍布)を織りました
・これを以って48の威力が備わるミハラオヒ(見張帯)となったのです
・例えば、イサナミは長期間孕み、96ヵ月を経てアマテルを出産しました
・その際のハタレマの障害は、帯に備わった48の威力によって免れたのです
・ヒメキミの場合、ハタレの障りはありませんが、イキス(呼吸)を正す帯として役立ちましょう
・その時、タケミカツチ※が訝しく「イキス(呼吸)を正すというが、その理由はどこにある?」と訪ねた
・コモリは答えた
・「それは、昔のトヨケ(タマキネ)の詔にあります
・曰く、『天地より授かった経緯の帯は、天地に則って父の丈と合っている
・比べて帯は母の息が正されるというイタク(至上の恵み)を備えている
・天のイタク(頂)を地に編んで、天地(陽陰)が連なり育てる子の様なものである(父母が育てる子と同様)
・父の恵みは頂く天、母の慈しみは乗せる埴である』
・アマテルも忘れまいと、24筋の糸を撚り合せてメヲハフタエ(陰陽羽二重)の御衣とした
・そして、この御衣を着て日毎に天地の神を祀り(アメツチマツル)、父母(二尊)の実心を引き継いだ
・これは君(オシホミミ)も同じである』
・それを聞いたタケミカツチは喜んで「経緯の帯を織ろう」と意気込んだ
・そして「ハフタエ(羽二重)はないか?」と言って、宝物殿を開いた
・すると、宝物殿の中から君の賜物の羽二重が2機出てきた
・羽二重を見つけたタケミカツチはこのように言った
・「羽二重の由来を知らず、君から貰ったをアメノハ(天の機)を着るのも畏れて安置していた
・しかし、今 幸いの教え知ったため、アメノハを朽ちさせずに済むのは幸いである
・ヒメ(ヒメキミ)よ、コヤネの丈を知っているか?」
・すると、ヒメキミは「はい、夫は一丈二尺五寸(約3.78m)です」と言った
・それを聞いたタケミカツチはこう言った
・「予ねてより聞いていた君(アマテル)の御丈と同じとは御恵みである
・妹(ヒメキミ)の身に、アマテルと同じ丈の帯を締めることができるとは とても有難い」
・そう言って笑みを浮かべて喜んで、羽二重をコヤネの身丈の帯と成した
・その帯を腹帯とすれば、ヒメキミの身のイキスが正された
・その際、ヒメキミは「いつ生まれるのでしょうか?」とコモリに問うた
・すると、コモリは「これはカツテ※が良く知っていることです、私が帰った後に呼びましょう」と答えた
用語解説
・コモリ:クシヒコの子で、後に3代目オオモノヌシとなる。18男18女の子を養育した功績により、コモリカミとなる
・ヒメキミ:タケミカツチの一人娘で、アマノコヤネの妻となる。斎名は無いためヒメと呼ばれ、区別のために君・上が付く
・タケミカツチ:ヲバシリの子であり、ムハタレ討伐やカシマ立ちで活躍する。『記紀』でいうタケミカヅチに当たる
・カツテ:ヒトコトヌシの子で、いわゆる勝手明神に当たる
原文(漢字読み下し)
・孕(はら)み子(こ)を 訪(と)ひ得(う)るための
・旅宿(たひやと)り ある日(ひ)ヒメ尊(かみ)
・またの問(と)ひ 押(おし)えの帯(おひ)は
・技(わさ)ありや コモリ答(こた)えて
・タマキネの 教(をし)ゑの帯(おひ)は
・己々(みみ)の果(は)に 品(しな)弁(わきま)えて
・地(くに)治(をさ)む 帯(おひ)は五腑(ゐわみ)の
・固(かた)めなり 男(を)は下合(したあわ)せ
・女(め)は上(うえ)そ
・孕(はら)みの帯(おひ)は
・カツラキの 代嗣社(よつきやしろ)に
・御種(みたね)祈(の)る 時(とき)に天(あめ)より
・丹斎鳥(にいとり)の 一羽(ひとは)落(お)つれは
・天(あま)つ宣(のり) これは息吹(いふき)の
・成(な)る紅葉(もみち) 化(は)けてカツラキ
・斎鳥山(いとりやま)
・羽先(はねさき)見(み)れは
・二十四筋(ふそよすち) 数(かす)備(そな)われと
・常(つね)あらす 諸鳥(もろとり)見(み)れは
・十五(そゐ)に割(さ)け
・ヒタカミに鶴(つる)
・奉(たてまつ)る 羽先(はねさき)見(み)れは
・二十四(ふそよ)なり 故(かれ)諸羽(もろはね)を
・撚(よ)り唯(たた)し 雄鶴(をつる)お経(たて)に
・雌(め)を緯(よこ)に 経緯(けふ)の臍布(ほそぬの)
・織(お)り以(もつ)て 四十八(よそや)備(そな)わる
・見張帯(みはらおひ)
・母(はは)のイサナミ
・長孕(なかはら)み 九十六月(こそむつき)経(へ)て
・生(う)み給(たま)ふ アマテル神(かみ)そ
・ハタレマの 障(さは)れと帯(おひ)に
・調(ととの)ひて 四十八(よそや)備(そな)わる
・その例(ためし)
・てれは姫君(ひめきみ)
・障(さは)らねと イキス直(ひた)ちと
・なす帯(おひ)そ
・時(とき)にミカツチ
・訝(いふか)しく イキス直(ひた)ちと
・なる帯(おひ)の 技(わさ)にイキスは
・何処(いつこ)えか
・時(とき)にコモリの
・答(こた)えには
・昔(むかし)トヨケの
・宣給(のたま)ふは 天地(あめ)より授(さつ)く
・経緯(けふ)の帯(おひ) 天地(あめ)に則(のと)りて
・父(ちち)の丈(たけ) 比(くら)ふる帯(おひ)に
・母(はは)の息(いき) 直(ひた)ちとなるは
・頂(いたく)なり
・天(あめ)より頂(いたき)
・地(は)に編(あ)みて 連(つら)なり育(そた)つ
・子(こ)の例(ため)し
・父(ちち)の恵(めく)みは
・頂(いたた)く天(あ) 母(はは)の慈(いつく)し
・載(の)する埴(はに)
・アマテル神(かみ)も
・忘(わす)れしと 糸二十四筋(いとふそよすち)
・撚(よ)り合(あは)せ 陰陽(めを)羽二重(はふたえ)の
・御衣(みは)となす
・この御衣(みは)召(め)して
・朝毎(あさこと)に 天地(あめつち)纏(まつ)り
・父母(たらちね)に 継(つ)かふ実心(みこころ)
・その君(きみ)も これと申(もふ)せは
・ミカツチも 喜(よろこ)ひ経緯(けふ)の
・布(ぬの)織(お)らん 曰(いわ)く羽二(はふたゑ)
・あらさるか 応(こた)えて開(ひら)く
・宝殿(たからとの) 内(うち)より出(い)つる
・羽二重(はふたゑ)は 君(きみ)の賜物(たまもの)
・二機(ふたは)あり
・成(な)す故(ゆえ)知(し)らす
・陽陰(あめ)の機(は)お 着(き)るも畏(おそ)れて
・朽(く)ちんとす 今(いま)幸(さいわ)いの
・教(をし)ゑ得(う)る ヒメはコヤネの
・丈(たけ)知(し)るや 知(し)れり一丈(ひとたけ)
・二尺五寸(ふたゐき)そ
・予(か)ね聞(き)く上(うえ)の
・御丈(をんたけ)と 生(うま)れ合(あ)ひたる
・御恵(みめく)みと 諸(もろ)宣給(たま)えは
・妹(いめ)か身(み)に いと有難(ありかた)と
・笑(ゑ)みす時(とき)
・父(ちち)喜(よろこ)ひて
・羽二重(はふたゑ)を 身丈(みたけ)の帯(おひと)と
・成(な)し給(たま)ふ 腹帯(はらおひ)なせは
・身(み)のイキス 直(ひた)ちとなりて
・ヒメの問(と)ひ 生(う)む時(とき)如何(いかん)
・コモリまた これはカツテか
・良(よ)く知(し)れり 我(わか)帰(かえ)る後(のち)
・下(くた)すへし
現代語訳文の目的・留意点
・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
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・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
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