現代語訳

フツヌシは予ねてより甥のカスガマロ(後のアマノコヤネ)と会おうと思っていた
 ・そこで、ヒタカミの境で待ち合わせ、そこでカスガマロを迎えると二人の初対面が成った
・早速、叔父と甥とで酒宴を開き、海辺の岩上のハマヒサシで海の美しい風景の見ながら酒を酌み交わした
 ・その際、緩やかな波打ち際には海松布(ミルメ)とアフ貝(ハマグリ)が見えていた
 ・酒の席での会話にて、カスガマロは美しい浜辺の名を尋ねた
  ・すると、フツヌシは「名などあっただろうか」と答えた
 ・カスガマロは直ちに歌を整えて、それを歌った
  ・『名こそ知る フツの尊※の 酒迎ひ 貝の蛤 会ふ御叔父 甥の見る目も 年並の 名こそ知るへゆ 因み合ふ浜』
  ・(名こそ知るフツの尊との酒宴にて、この叔父と甥との出会いは、名こそ知らない浜のアフ貝と海松布のように因み合う)
 ・そこで、カスガマロは「これで名が付きました」と言った(これが「勿来(なこそ)」の由来である)
・この際の酒を呑む添え(ツマミ)は、桜の実(サクランボ)であった
 ・二人は秋に帰る時も酒を酌み交わす約束をし、カタシホ(堅塩)を採って海苔を肴にした
・そして、同じ道を通って壺若宮に入って行った

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用語解説

・フツノミタマ:この場合はフツヌシの尊称を指す(後にフツヌシの霊剣の名となる)

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原文(漢字読み下し)

・予(かね)てホツマと
・ヒタカミの 境(さかい)に出待(てま)つ
・フツヌシか さか迎(むか)ひして
・初(うゐ)まみゑ

・叔父(をち)と甥(をゐ)との
・直付(さかつ)きの 酒(さけ)の和(なか)めは
・岩(いわ)の上(うゑ) 風(ふり)はよろしき
・浜庇(はまひさし) 波打際(なみうちかきり)
・岩(いわ)洗(あら)ふ

・海松布(みるめ)・アフ貝(かゐ)
・緩浜(ゆるはま)お 問(と)えは名(な)も無(な)し
・フツヌシも 名(な)こそもかなに
・カスガマロ 直(すく)さの歌(うた)に

・名(な)こそ知(し)る フツの尊(みたま)の
・酒迎(ささむか)ひ 貝(かゐ)の蛤(はまくり)
・会(あ)ふ御叔父(みをち) 甥(をゐ)の見(み)る目(め)も
・年並(としなみ)の 名(な)こそ知(し)るへゆ
・因(つな)み合(あ)ふ浜(はま)

・名(な)こそ成(な)る
・酒呑(さけの)む合(あゐ)に

・桜(さくら)の実(み) 秋(あき)帰(かえ)る日(ひ)も
・酒送(さけおく)る 堅塩(かたしお)採(と)りて
・さかな海苔(のり) 同(おな)し道(みち)して
・宮(みや)に入(い)る

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります