ホツマツタヱ39文 ホツマ打ち 連歌の文:ツヅウタのいわれと理屈【8】
現代語訳
・なお、君(ヤマトタケ)が山に行く日は靫負を休みとした
・その際、タケヒがヤマトタケに申し上げた
・「統君(ヤマトタケ)よ、僕らにはハナフリを与えたのに、ソロリ(ヨスナ)にタケタムラを与えたのは何故ですか?」
・君は「歌の殊である」と言った
・すると、タケヒは「あの歌はアワウタではありませんね、何の歌でしょうか?」と問うた
・これにヤマトタケが このように答えた
・「ツヅウタは、昔 サユリヒメ※が19歳の時にタギシミミが慕い恋に落ちてしまったことに因む
・その父(タケヒト)がサユリヒメを呼びだした時、姫はこれを悟って、これを除くツヅウタを歌ったのだ
・『天つ地 娶ります君と 何ど割ける 止め(継句の拒否)』
・そのツヅス(十九素)を数え、その中心をツボカナメ(10音目のキ)という
・また、この歌は続くカゾエモノであり、オリアワセメに"ツツ"と"ケリ"もある
・故に君と我(天と地)とは"続きけり(継続するもの)"を指す
・それを"ヨコカメトル(やっかむ)"ことをサカシマ(背徳)である
・よって、"るとめ"に止めて絶ち切れば、忠も操も表わせるのである
・故に、これはソコモツス(19音の歌で操を伝える)とモノモツス(19音の歌で忠を伝える)続き歌なのである」
・そのとき、傍にいたナツカハギが「継ぎはございますか?」と問うた
・すると、タケヒが答えて言った
・「八十あって、最初は"起り(起)"、次に"受け(承)"、三は"転た(転)"、四は"合せ"、五は"直言"、六は"連れ"、七は"尽き詰め"、八は"尽き"
・表を四つ連ねて忠操を成し、両方に通われば、裏の四連で終わる
・果てれば頭の五ヲシテへ還し連ねて、その継ぎは"ウチコシ(打越)"、"心"、"転た"、"更り"と元に群がる一連ねとなる
・十六(句)を一織、総てで五織、八十を百とすれば織は二十(1織は20句)となる
・故にオリドメ(織止め=各織の第20句)のツズ(連)は"ハタチ"となる
・なお、オリハツ(織初)のツズは"アヒカナメ(合要)"という
・また、オリヅメ(織詰)のツズは三十九を"ハナ"、三の詰は五十九でツズは"サツメ"となる
・さらに、四の詰は七十九でツズは"フツメ"、五の詰は九十九でツズは"ツクモ"となる
・五節の匂いの花はユリ、本歌は君に擬えられ、枝を裔として八十まで続くのである
・この深い旨を習い受けるべし」
・ナツカハギは、「八十を百とすれば数はどうなるのでしょうか?」と問うた
・これにタケヒは「それはカナメ(連歌の本歌)である、百句あれば本歌が20回巡り来るのである」と答えた
・ナツカハギは、「ユリヒメが最初ですか?」と問うた
・すると、タケヒはこのように答えた
・「上代にも例があり、御祖神(ウガヤ)のツヅノヲシテがこれに当たる
・また、アメミコ(タケヒト)が日向に座している時のヤマト地方の流行り歌にもこうある
・『乗り下せ ホツマ方平む 天下斎船(東方を平らげる宣を下せば天地も祝う)』
・シホツツヲ(シホツチ)が君に勧めてヤマト(アスカ政権)は討たれた
・これのオリカエ(折返)に"アヒツ(天日西)"とある故、討ち取ることを好しとする
・ユリヒメも19歳で歌も19音、忠と操とを表せば、ツツキウタを詠む法となる
・そして今、遂にホツマ(東国)の政が天(中央政府)に通り、悉く治まる時がやってきた
・そこで、ウタハクニ(歌は地)、力は値(力業にはハナフリ)を賜った」
・このようにタケヒがまとめると、皆は「君は神か」と賛美した
用語解説
・サユリヒメ(イスキヨリヒメ):クメの娘で、タカクラシタの妻となる(神武天皇の乙下侍だったが、タギシミミに見染められる)
原文(漢字読み下し)
・君(きみ)山(やま)の日(ひ)は
・靫(ゆき)休(やす)み 我(わ)か君(きみ)に言(い)ふ
・統君(すへらきみ) 僕(やつ)らハナフリ
・ソロリには タケタ賜(たま)はる
・何(なん)の殊(こと) タケヒの曰(いわ)く
・歌(うた)の殊(こと) また問(と)ふ彼(かれ)は
・アワならす 何(なに)の歌(うた)そや
・また曰(いわ)く 十九歌(つつうた)昔(むかし)
・サユリ姫(ひめ) 歳十九(としこそ)の時(とき)
・タギシ御子(みこ) 慕(した)ひ恋(こ)ふ故(ゆえ)
・その父(ちち)か 呼(よ)ひ出(た)す時(とき)に
・姫(ひめ)悟(さと)り 除(のそ)く十九歌(つつうた)
・天(あま)つ地(つち) 娶(と)ります君(きみ)と
・何(な)と割(さ)ける止(とめ)
・その十九素(つつす) 数(かそ)えて中(なか)お
・壺要(つほかなめ) この歌(うた)続(つつ)き
・数(かそ)え物(もの) 折(お)り合(あわ)せ目(め)に
・けりもあり 君(きみ)と我(われ)とは
・続(つつ)きけり
・よこかめ取(と)るお
・逆(さか)しまに るとめに止(と)めて
・断(た)ち切(き)れは 忠(まめ)も操(みさほ)も
・表(あら)わせり 故(かれ)直(そこ)も伝(つ)す
・ものも伝(つた)す 続(つつ)き歌(うた)なり
・ナツカハギ ここに居(い)て問(と)ふ
・継(つ)きありや
・タケヒ答(こた)えて
・八十(やそ)ありて 初(はつ)は起(おこ)りと
・次(つき)は受(う)け 三(み)つは転(うた)たに
・四(よ)つ合(あ)わせ 五(ゐ)つは直言(たたこと)
・六(む)つは連(つ)れ 七(なな)は尽(つ)き詰(つ)め
・八(や)つは尽(つ)き
・表(おもて)四連(よつら)ね
・忠(まめ)操(みさほ) 両方(まて)に通(かよ)はす
・裏(うら)四連(よつ)れ 果(は)つは頭(かしら)の
・五(ゐ)ヲシテえ 回(めく)らし連(つら)ぬ
・その継(つ)きは 打越心(うちこしこころ)
・転(うた)た更(さ)り 本(もと)に群(むら)かる
・一連(ひとつら)ね
・十六(そむ)お一織(ひとおり)
・総(す)へ五織(ゐおり) 八十(やそ)お百(もも)とし
・織(おり)は二十(ふそ)
・故(かれ)織留(おりとめ)の
・ツズハタチ 織初(おりはつ)のツズ
・合要(あひかなめ) 織詰(おりつめ)のツズ
・三十九(みそこ)ハナ 三(み)の詰(つめ)五十九(ゐそこ)
・ツズサツメ 四(よ)の詰(つめ)七十九(なそこ)
・ツズフツメ 五(ゐ)の詰(つめ)九十九(こそこ)
・ツズツクモ
・五節匂(ゐふしにほひ)の
・放(はな)は揺(ゆ)り 本歌(もとうた)は君(きみ)
・その余(あま)り 枝(ゑた)や裔(はつこ)お
・八十続(やそつつ)き なお深(ふか)き旨(むね)
・習(なら)い受(う)くへし
・また問(と)ふは 八十(やそ)お百(もも)とす
・数(かす)如何(いか)ん
・答(こた)えは要(かなめ)
・また配(くは)る 本歌(もとうた)お二十(ふそ)
・返(かえ)し問(と)ふ ユリか初(はし)めか
・答(こた)え言(い)ふ 上代(かみよ)にもあり
・御祖神(みをやかみ) 連(つつ)のヲシテや
・陽陰御子(あめみこ)の 日向(ひうか)に坐(いま)す
・ヤマト方(ち)の 流行(はや)り歌(うた)にも
・乗(の)り下(くた)せ ホツマ方(ち)平(ひろ)む
・天下斎船(あまもいわふね)
・シホツツヲ 勧(すす)めて大和(やまと)
・打(う)たしむる これ折返(おりかえ)に
・天日西(あひつ)あり 故(かれ)打(う)ち取(と)るお
・好(よ)しとなす
・ユリ姫(ひめ)も十九(つつ)
・歌(うた)も十九(つつ) 忠(まめ)と操(みさほ)と
・表(あら)わせは 続(つつ)き歌(うた)詠(よ)む
・法(のり)となる
・遂(つい)にホツマの
・政事(まつりこと) 天(あめ)に通(とほ)れは
・悉(ことこと)く 纏(まつ)ろふ時(とき)そ
・歌(うた)は地(くに) 力(ちから)は値(あたひ)
・賜(たま)はりし
・君(きみ)は神(かみ)かと
・皆(みな)愛(め)つむ
現代語訳文の目的・留意点
・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
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