現代語訳

・(景行)53年(上鈴840年)
 ・8月、君は「過去を思って煩っていてもきりが無い、コウス(ヤマトタケ)が平定した国巡りをしよう」と詔した
 ・そこで、まず伊勢に御幸することになった
  ・オハリツシマに到れば、尾張連(オトヨ)が出迎えた
  ・尾張連コウスを子の如く思っていたため、二人は共にオホマノミヤに入って自ら作った和幣を奉った
  ・そこで「親子も交わりも無く別れてしまったために汝を忘れられない、そこで自ら来て和幣を捧げる」と言って、久しく悼んだ
 ・オホマの宮を参拝した夜、君の夢にツシマモリ(津島社)から白斎鳥になったヤマトタケが現れ、このように語った
  ・「大神(アマテル)ソサノヲに このように教えた
   ・"どのように国を望んでも、アメノリを成せばこその国の守である
   ・教え歌にも『天が下 和して巡る 日月こそ 晴れて明るき 民の父母』とあるだろう"
  ・(ソサノヲは)これを解けずに罪に落ちたが、後に反省してイフキカミに従って功を立て、遂に国守となった
  ・ニニキネは この心を以ってホツマを得てアマキミとなった
  ・ソサノヲニニキネを羨んで、汝(景行天皇)の仮の親子として、御子(オウス)となって生まれたのだ
  ・そして、御言を受けて東西を平定し、今こうして天に還る
  ・カミシツ(上下≒君とオウス)が調和してこその熱さを治める親の恵み、故に倦むことはないのだ(オウスの死は必然)」
  ・(一連の流れを語った白鳥は)オリカソエウタを歌った
   ・『我が光る 晴見つ錦 アツタ神 元つ粗衣に 復れるか ヒカワ』
   ・(今は錦を纏う英雄のアツタ神、昔は汚穢隈と言われたヒカワ神、英雄となった今、再び粗衣を着る下民の戻れるか?)
  ・このように三度宣れば、賤民の姿になって雲の中に隠れて行った
 ・この夢から目覚めた君はこのように言った
  ・「神(ヤマトタケ)の告げに"我は元々賤しいヒカワ神であり、今 再び元に返る"とあった
  ・これは恵みを片寄らせる迷いを諭す啓示であろう
  ・昔は"人は神、神は人なり"と言われ、その名は尊ばれ、満ち立つ(人間の完成)の模範となった
  ・神は人から始まり、人として素直でホツマ(調和の道)を行くのが真の神である」
 ・そして、この告げにより、オウスアツタカミの名を与えた
  ・また、ミヤズヒメを伊勢の斎宮に比し、神主も伊勢の宮司と同列とした

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用語解説



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原文(漢字読み下し)

・五十三年八月(ゐそみほほつみ)
・御言宣(みことのり) 返(かえ)り思(おも)えは
・止(や)む日(ひ)無(な)し コウスか平(む)けし
・国巡(くにめく)り なさんと伊勢(いせ)に
・御幸(みゆき)なり

・尾張(おはり)ツシマに
・到(いた)る時(とき) 連(むらし)迎(むか)えは
・子(こ)の如(こと)く 共(とも)にオホマの
・宮(みや)に入(い)り 自(みつか)ら作(つく)る
・和幣(にきて)奉(た)て 曰(いわ)く親子(をやこ)の
・縁(ゆくり)無(な)ふ 別(わか)れ会(あ)わねは
・忘(わす)られす 自(みつか)ら来(き)たり
・和幣(にきて)すと やや久(ひさ)しくそ
・悼(いた)ましむ

・その夜(よ)の夢(ゆめ)に
・ツシマ杜(もり) 白斎鳥(しらいとり)なる
・ヤマトタケ

・曰(いわ)く大神(ををかみ)
・ソサノヲに 曰(いわ)く如何(いか)んそ
・地(くに)望(のそ)む 陽陰法(あめのり)成(な)せは
・地(くに)の守(かみ) 教(をし)えの歌(うた)に

・天(あめ)か下(した) 和(やわ)して恵(めく)る
・日月(ひつき)こそ 晴(は)れて明(あか)るき
・民(たみ)の父母(たらちね)

・これ解(と)けす 罪(つみ)に落(お)つるお
・イフキ守(かみ) 率(ひ)きて守(かみ)とす
・ニニキネは この心(こころ)以(も)て
・ほつま得(ゑ)て 和君(あまきみ)となる
・羨(うらや)みて 仮(かり)の親子(をやこ)そ

・御言(みこと)受(う)け 東西(きつ)平(む)け還(かえ)る
・上(かみ)・賤(しつ)か 見(み)えて臍(ほそ)ち
・熱(あつ)さ治(た)す 親(たらち)の恵(めく)み
・倦(う)まさるや 折(お)り数(かそ)え歌(うた)

・我(わ)か光(ひか)る 晴見(はらみ)つ錦(にしき)
・アツタ神(かみ) 元(もと)つ粗衣(しまは)に
・復(お)れるかヒカワ

・三度(みたひ)宣(の)へ 賎(しつ)の姿(すかた)に
・雲隠(くもかく)れ

・君(きみ)覚(さ)め曰(いわ)く
・神(かみ)の告(つ)け 我(われ)は賎(しつ)しき
・ヒカワ神(かみ) 元(もと)に返(かえ)ると
・恵(めく)み凝(こ)る 迷(まよ)ひお諭(さと)す
・示(しめ)しなり

・昔(むかし)曰(いわ)くは
・人(ひと)は神(かみ) 神(かみ)は人(ひと)なり
・名(な)も褒(ほ)まれ 満(み)ち立(た)つ典(のり)の
・神(かみ)は人(ひと) 人(ひと)素直(すなほ)にて
・ほつま行(ゆ)く まこと神(かみ)なり

・告(つ)けにより 名(な)もアツタ神(かみ)
・ミヤズ姫(ひめ) 斎(いつき)に比(くら)へ
・神主(かんぬし)も 宮司(みやつかさ)並(な)み

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります