現代語訳

・次に越のネノクニに到ると、そこのアチハセ※がミネコシ(峰輿)を捧げた
 ・ニニキネは峰輿を召して白山峰を巡るときに用いたが、斜めになることが無いため非常に重宝した
・そのため、ニニキネは「この輿は誰が造った」と詔した
・すると、ココリヒメ※がそれに答えた
 ・「孫(分け身)とした妹のウケステメ※(西王母)がアカガタ(地名)にクロソノツミとの子を生みました
 ・その子はコロヒツクニ(崑崙国)の君となったクロソノツメルです
 ・ウケステメは険しい峰を越す時に峰輿を造って子を育てたそうです」
ココリヒメがこう言うと、ウケステメを連れて来てニニキネと接見した
 ・ニニキネは喜んで「国は越、山は峰輿(または地は輿、山は峰輿)」と言い、お礼にミチミノモモ※を与えた
 ・ウケステメは「花見の桃とは珍しい」と言って国へのクニツト(土産物)とした

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用語解説

・アチハセ:ココリヒメの孫とされる
・ココリヒメ:アワナギの子で、イサナギの兄妹。『日本書紀』のククリヒメ、いわゆる白山比咩大神に当たる
・ウケステメ:アカカタ(シナ国)の出身であり、中国神話の西王母(せいおうぼ)に当たると推察される
・ミチミノモモ:ニニキネがウケステメに与えた峰輿の返礼(中国神話では三千年に一度だけ花と実がなる桃とされる)

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原文(漢字読み下し)

・越(こゑ)の根(ね)の国(くに)
・アチハセか 峰輿捧(ささ)く
・これに召(め)し 白山峰(しらやまみね)お
・巡恵(みめく)るに 斜(なな)めにならす
・この輿(こし)は 誰(た)か造(つく)れると
・宣給(のたま)えは

・ココリ姫(め)曰(いわ)く
・孫(まこ)か成(な)す 妹(いと)ウケステメ
・アカガタに クロソノツミと
・生(う)む子(こ)お 暮日(ころひ)つ国(くに)の
・君(きみ)となす クロソノツメル
・君(きみ)の母(はは) 険(けわ)しき峰(みね)の
・越(こ)す時(とき)に 峰輿(みねこし)造(つく)り
・子(こ)お育(そた)つ 今(いま)ここに来(き)て
・まみえなす

・御孫(みまこ)喜(よろこ)ひ
・国(くに)は越(こし) 山(やま)は峰輿(みねこし)
・その返(か)えに 満(み)ちみの桃(もも)お
・賜(たま)われは 花見(はなみ)の桃(もも)は
・稀(まれ)なりと 地苞(くにつと)になす

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります