現代語訳

・三種宝を受け継いだウガヤは詔をした
 ・「多賀は二尊(イサナギ・イサナミ)のハツノミヤ(最期の宮)である
 ・今は破損が見られるため、これを造り替えてミツホ宮から遷宮し、二尊を常に拝もうと思う」
・この詔により、イシヘ(居敷部)がハヒキ(地平)をし、オオヤ(大弥)が宮を造営して多賀宮の改築が成った
・その後、遷宮が行われてウガヤがミクライ(御位)に就いた
 ・このときのウガヤの装いは、綾・錦を着て、珠・冠・佩・沓で身を飾るというハラノノリ※に則った華やかなものであった
 ・そして、その翌日に大御宝(民)に拝ませて祝福を受けた
・キアト夏、御位が成ったことがイセに告げられると、アマテルはトカクシを召して詔を告げた
 ・「我が子孫が、タガの古宮を造り替えて都を遷せば、天の二尊に継いでワノフタカミ(地の悉尊)となれ
 ・私も昔、アメノミチ※を得た
 ・そこで、アメノミチを得るためのカグノフミミヲヤモアミを授けてミヲヤアマキミ(御祖天君)の名を与えよう
 ・この心は、地上の君が万の政を聞くときは、神も下って敬うだろう、故に神の御祖なのである
 ・君がこの道に沿って地を治めれば、子が親を慕う如く、百司もこの道に習うであろう、故にこれも御祖である
 ・また、この梢(末端)である民を恵んで我が子のように撫でれば、人草にも御祖の心が伝わるであろう
 ・これらのことは渾然としてモモノヲシテの中にある
 ・しかし、紋(経緯)が曖昧であればアチ(奥にあるもの)は見えないであろう
 ・錦の紋を織る如く、ヨコベ・ツウヂに経糸を分ければ、床闇の床に明かりが成される
 ・カスガ・コモリがアチを知れば、アマツヒツキの繁栄は、たとえ天地が暮れようと限りは無いだろう」
アマテルの詔が奏上されてトガクシが去る時に、ウガヤが詔した
 ・そして、当時の日に大嘗会が催された

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用語解説

・ハラノノリ:ニニキネが創始した作法(大嘗会で着飾る、内宮に三種宝を納める、斑竹で臍の緒を切る、幸菱の産衣を使う)
・アメノミチ:アメノミヲヤ(根源神)が定めた"この世"と"あの世"を貫く根本法則、調和のための道徳などを指す
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原文(漢字読み下し)

・御言宣(みことのり) タガは二尊(ふたかみ)
・果(は)つの宮(みや) 今(いま)破(やふ)るれは
・造(つく)り替(か)え ミツホの宮(みや)お
・移(うつ)し居(ゐ)て 常(つね)拝(おか)まんと
・居敷部(いしへ)して 平(ひ)かせ大弥(おおや)に
・造(つく)らせて 営(いとな)み成(な)りて
・宮(みや)遷(うつ)し 御位(みくらい)に就(つ)く

・その装(よそ)い 綾(あや)・錦(にしき)着(き)て
・珠飾(たまかさ)り 冠(かむり)・佩(はひ)・沓(くつ)
・ハラの法(のり) 華(はな)お尽(つ)して
・その翌(あす)は 大御宝(おおんたから)に
・拝(おか)ましむかな

・キアト夏(なつ) 御位(みくらい)成(な)りて
・イセに告(つ)く アマテル神(かみ)の
・御言宣(みことのり) トカクシおして

・我(われ)か孫(まこ) タガの古宮(みや)
・造(つく)り替(か)え 都(みやこ)遷(うつ)せは
・天(あ)に継(つ)きて 地(わ)の悉尊(ふたかみ)そ

・我(われ)昔(むかし) 陽陰(あめ)の道(みち)得(ゑ)る
・橘の文(ふみ) 上祖(みをや)百編(もあみ)お
・授(さつ)く名(な)も 御祖天君(みをやあまきみ)

・この心(こころ) 万(よろ)の政(まつり)お
・聞(き)く時(とき)は 神(かみ)も下(くた)りて
・敬(うやま)えは 神(かみ)の御祖(みをや)そ

・この道(みち)に 国(くに)治(をさ)むれは
・百司(ももつかさ) その道(みち)慕(しと)ふ
・子(こ)の如(こと)く これも御祖(みをや)そ

・この梢(こすえ) 民(たみ)お恵(めく)みて
・我(われ)か子(こ)そと 撫(な)つれは還(かえ)る
・人草(ひとくさ)の 御祖(みをや)の心(こころ)

・統(す)へ入(い)れて 百(もも)のヲシテの
・中(なか)にあり 紋(あや)繁(しけ)けれは
・味(あち)見(み)えす

・錦(にしき)の紋(あや)お
・織(を)る如(こと)く ヨコベ・ツウヂに
・経(たて)お分(わ)け 闇惨(やみち)の床(とこ)は
・明(あか)り成(な)す

・カスガ・コモリと
・味(あち)領(し)らは 和(あま)つ日月(ひつき)の
・栄(さか)ゑんは 天地(あめつち)暮(く)れと
・極(きわ)め無(な)きかな

・君(きみ)受(う)けて 使(しか)去(さ)る時(とき)に
・御言宣(みことのり) 冬(ふゆ)至(いた)る日(ひ)に
・大祭(ををまつり)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります