現代語訳

・(崇神)7年(上鈴627年)
 ・2月3日、君は詔を発した
  ・「我が上祖が開いた基は栄んである
  ・我が代に当たって衰え荒れるのは、祭が届かぬことへの咎めである
  ・故に徹底的に直す必要がある」
 ・この詔により、君はアサヒハラに御幸してヤヲヨロ(八百万)を招いた
 ・そして、モモソヒメ※にユノハナ(湯立神楽)をさせてサツサツスウタを歌わせた
  ・『散る民も 連に服らで 衰えに惨るさ』
 ・そこで君は「この原因を教えてくれた神は誰でしょうか?」と問うた
  ・すると応えて「我はクニツカミのオオモノヌシである」と言った
 ・しかし、君は神を祀るためのシルシ(証明)が無かったので、湯浴をして身を清め、祈りながら告げ申した
  ・「私は神を敬っています、これを受けてくださいますか?」
 ・するとその夜、君の夢に神が現れた
  ・「我はオオモノヌシの神であるが、君の憂いが直らない理由は我が心にある
  ・我が裔のオオタタネコ※に祀らせれば、均しく平げ、遠い地も真に服従するだろう」
 ・8月7日、トハヤチハラメクハシヒメオオミナクチイセヲウミの三人を連れて帝に告げた
  ・「夢に神が出て来て、タタネコオオモノヌシ神のイワイヌシ(斎主)とせよと申されました
  ・また、シナカオイチヤマトヲヲコノミタマカミの斎主とすれば平穏に治まるそうです」
 ・この告げを受けた君はユメアワセをして、神が求めたオオタタネコを探すことにした
  ・すると、茅渟県の陶村にそのような者が居るとの報告があった
 ・これにより、君は八十を添えて茅渟県に御幸し、そこに居たタタネコに「汝は誰の子だ?」と素性を尋ねた
 ・これにタタネコはこう答えた
  ・「私は、昔のモノヌシ(コモリ)が、スヱツミの娘のイクタマヨリヒメとの間に生んだモノヌシのオオミワカミの裔です」
 ・君は「これで栄えるだろう」と楽しんで、イキシコヲを召して(タタネコを斎主とすることを)占わせると吉と出た
  ・また、他守を問えばフトマニの占いで悪い結果が出た
 ・これにより、10月初日にイキシコヲにヤソヒラカを造らせた
  ・そして、オオタタネコを斎主としてオオミワノカミを祀らせた(大神神社)
  ・また、ナカオイチを斎主としてオオクニタマを祀らせた(大和神社)
 ・その後、これをあまねく告げて神を崇め、カミナフミ(神名記)も作った
  ・また、カンヘ(神部)を定めてヤモヨロカミを祀らせた
  ・これにより、民のヱヤミも平癒し、稲が実って豊かに治まった

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用語解説

・モモソヒメ:孝霊天皇の皇女であり、後にオオモノヌシ神の妻となる。『記紀』のヤマトトトヒモモソヒメに当たるが、ホツマではトトヒメは別に存在する
・オオタタネコ:オミケヌシの孫で、オオミワ神の斎主となる。『ホツマツタヱ』の編者。『記紀』のオオタタネコに当たる

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原文(漢字読み下し)

・七年二月(なほきさら) 三日(みか)御言宣(みことのり)
・我(わ)か上祖(みをや) 開(ひら)く基(もとひ)は
・栄(さか)んなり 我(わ)か代(よ)に当(あた)り
・衰(を)え粗(あ)るは 祭(まつり)届(とと)かぬ
・咎(とか)めあり けたし究(きわ)めて
・寄(よ)るなりと 朝日(あさひ)の原(はら)に
・御幸(みゆき)して 八百万(やもよろ)招(まね)く
・湯(ゆ)の花(はな)の モモソ姫(ひめ)して
・宣言(のりこち)に サッサ十九歌(つすうた)

・散(さ)る民(たみ)も 連(つす)に服(まつ)らて
・衰(を)ゑに惨(みた)るさ

・君(きみ)問(と)ふて かく教(をし)ゆるは
・誰神(たれかみ)そ 答(こた)えて我(われ)は
・地(くに)つ神(かみ) オオモノヌシそ
・君(きみ)祭(まつ)る 殊(こと)徴(しるし)無(な)し
・湯浴(ゆあひ)して 清(すか)に祈(いの)りて
・告(つ)け申(もふ)す 我(われ)敬(うやま)えと
・受(う)けさるや

・この夜(よ)の夢(ゆめ)に
・我(われ)はこれ オオモノヌシの
・神(かみ)なるか 君(きみ)な憂(うれ)ひそ
・治(た)せさるは 我(わ)か心(こころ)あり
・我(わ)か裔(はつこ) オオタタネコに
・祭(まつ)らさは ひとしく平(な)れて
・遠(と)つ地(くに)も 真(まさ)に服(まつら)ふ

・八月七日(はつきなか) トハヤかチハラ
・メクハシ姫(め) オオミナクチと
・イセヲウミ 三人帝(みたりみかと)に
・告(つ)け申(もふ)す 夢(ゆめ)に神(かみ)あり
・タタネコお オオモノヌシの
・斎主(いわひぬし) シナカオイチお
・大(おほ)ヤマト クニタマ神(かみ)の
・斎主(いわひぬし) なさは平(む)けへし

・君(きみ)これに 夢合(ゆめあわ)せして
・告(ふ)れ求(もと)む オオタタネコお
・茅渟陶(ちぬすえ)に ありと告(つ)くれは
・君(きみ)八十(やそ)と 茅渟(ちぬ)に御幸(みゆき)し
・タタネコに 誰(た)か子(こ)そと問(と)ふ
・答(こた)えには 昔(むかし)モノヌシ
・スエスミか イクタマと生(う)む
・モノヌシの オオミワ神(かみ)の
・裔(はつこ)なり

・君(きみ)栄(さか)えんと
・楽(たの)しみて イキシコヲして
・占(うらな)わす これまこと吉(よ)し
・他守(よそかみ)お 問(と)えはフトマニ
・占悪(うらわ)ろし

・十月初日(めつきはつひ)に
・イキシコヲ 八十平瓮(やそひらか)成(な)し
・これお以(も)て オオタタネコお
・斎主(いわひぬし) オオミワの神(かみ)
・ナカオイチ オオクニタマの
・斎主(いわひぬし)

・遍(あまね)く告(ふ)れて
・神(かみ)崇(あか)め 神(かみ)名記(なふみ)成(な)す
・神部(かんへ)して 八百万神(やもよろかみ)お
・祭(まつ)らしむ 穢病(ゑやみ)平(む)け癒(い)え
・ソロ実(みの)り 民(たみ)豊(ゆた)か成(な)り

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります