現代語訳

ウガヤがミヤサキで休んでいる間に、齢も老いて最期の時も近づいてきた
 ・これを早雉がタガに告げると皆 驚いて、タケヒト(後の神武)アメタネコ※が早速 西宮に向かった
 ・そして、西宮からオオワニ(船)に乗ってウドの浜に着き、遂にミヤサキ宮に到った
・ミヤサキ宮にてウガヤタケヒトらが合うと、そこで最期の詔をした
 ・「タケヒトタネコも確と聞くがよい
 ・私はつくづく思ってみれば、人草の食が頻る故、こうして永らく生きてきた
 ・齢も千や百を超えれば(身体は)萎え枯れるが、80万年も100年も世の楽しみは同じである
 ・アマテル神も還ってしまえば、アノミチ(天の道)を守る人も無くなるだろう
 ・故に諸人が敬う神も無くなるのだ
 ・されば、汝二人も永らえず、ヰツセは子無しであろう
 ・よって、タケヒトがヨヨノミヲヤ(幾代の上祖)である
 ・タネコ達もヱト60以内に妻を迎えて代嗣を成せ
 ・タケヒトが15歳になったとき、タネコの助けを得て、私に代わって世を治めよ
 ・このシラヤノヲシデ※はタケヒトに、クニオシラスルモモノフミ※タネコ(アメタネコ)に譲る
 ・我が意向は、鏡はオシクモに、八重垣剣はワニヒコ(クシミカタマ)を授けることである
 ・また、鏡と剣はタマヨリヒメが預かって、ワケツチ宮に納め置くこととせよ
 ・ホツマ(調和)が成る時とは、自ずから三種の宝が集ったタケヒトをミヲヤとするのがホツマであるぞ」
ウガヤは、このように詔するとミヤサキヤマの洞穴に入り、「アカンタヒラ※」と言って神上がった
タケヒトが喪を務め四十八夜を済ませた後、筑紫32県の守が集まってウガヤ"ツクシスヘラキ"と称えた
 ・また、このことをタガに告げれば喪に入り、ウガヤ"ヒウガノカミ"として祀られた
 ・また、ヲニフにてウガヤが祀られれば"カモノカミ"と称えられた
 ・そして、アラヒツヤマ(ミヤサキ山)では"ミヲヤカミ"と称えられた
・その後、タマヨリヒメも神上がり、河合に合せて"ミヲヤカミ"となり、メヲノカミ(夫婦神)として有名になった

※ホツマによれば賀茂社の祭神はニニキネとウガヤ関係の神々であると考えられる

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用語解説

・アメタネコ(タネコ):コヤネの孫、オシクモの子。神武天皇よりナオリナカトミカミを賜り、中臣氏の祖となる
・シラヤノヲシデ:天御子の証
・クニオシラスルモモノフミ:モモノフミと同義で、アメナルミチを説く御祖の表した百編を指す
・アカンタヒラ:ウガヤが辞洞に入る時に吐いた最期の言葉であり、"我が神霊の帰還"を意味するとされる

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原文(漢字読み下し)

・ミヤサキの 君(きみ)の実心(みこころ)
・安(やす)まれは 齢(よわひ)も老(お)ひて
・早雉(はやきし)の タガに告(つ)くれは
・驚(おとろ)きて 御子(みこ)タケヒトと
・守(もり)タネコ タガより出(い)てて
・西(にし)の宮(みや) 大(おお)ワニ乗(の)りて
・ウドの浜(はま) ミヤサキ宮(みや)に
・到(いた)ります

・御祖天君(きみ)
・御言宣(みことのり) タケヒト・タネコ
・確(しか)と聞(き)け 我(われ)つらつらと
・思(おも)みれは 人種(ひとくさ)の食(みけ)
・頻(はかと)る故(ゆえ) 生(うま)れ賢(さか)しく
・永(なか)らえも 千齢(ちよ)は百齢(ももよ)と
・萎(な)り枯(か)れて 我(わ)か八十万(やそよろ)も
・百年(ももとせ)も 世(よ)の楽(たの)しみは
・合(あ)い同(おな)し アマテル神(かみ)も
・還(かえ)らせは 天(あ)の道守(みちまも)る
・人(ひと)も無(な)し もろとも褒(ほ)むる
・神(かみ)も無(な)し

・汝(なんち)二人(ふたり)も
・永(なか)らえす イツセは子無(こな)し
・タケヒトは 弥(よ)の上祖(みをや)なり
・タネコ等(ら)も ヱト六十内(むそうち)に
・妻(つま)入(い)れて 代嗣(よつき)お成(な)せよ

・タケヒトは 年十五(としそゐ)なれは
・我(われ)か代(わ)り タネコか助(たす)け
・治(をさ)むへし 白矢(しらや)のヲシテ
・タケヒトに 地(くに)お領(し)らする
・百(もも)の文(ふみ) タネコに譲(ゆつ)る

・我(われ)か心(こころ) 先(さき)に鏡(かかみ)は
・オシクモに また八重垣(やゑかき)は
・ワニヒコに 授(さつ)くお姫(ひめ)か
・預(あつ)かりて ワケツチ宮(みや)に
・納(おさ)め置(お)く

・ほつま成(な)る時(とき)
・自(みつか)つから 三種(みくさ)の宝(たから)
・集(あつま)りて 上祖(みをや)と成(な)すか
・ほつまそと ミヤサキ山(やま)の
・洞(ほら)に入(い)り 我神回翻(あかんたひら)と
・上(あ)ります

・御子(みこ)喪(も)お務(つと)め
・四十八(よそや)済(す)む 三十二(みそふ)集(あつ)まり
・上(あ)くる名(な)は ツクシ皇(すへらき)
・この由(よし)お タガに告(つ)くれは
・喪(も)に入(い)りて ヒウガの神(かみ)と
・祭(まつり)なす ヲニフに祭(まつ)る
・カモの神(かみ) アヒラツ山(やま)は
・御祖神(みをやかみ)

・後(のち)にタマヨリ
・神(かみ)となる 河合(かあひ)に合(あ)わせ
・御祖神(みをやかみ) 陰陽(めを)の神(かみ)とて
・著(いちしる)きかな

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります