ホツマツタヱ10文 カシマ立ち 釣鯛の文:出雲の国譲り【7】
現代語訳
・出雲に着いた二人はキツキ(杵築宮)の前にカフツチノツルキ※(曲治の剣)を植えて蹲った
・そして、宮の外から大声で叫んだ
・「我々は、貴方の驕り高ぶり曲がった道を正しに来た
・その心、まだ変わらんのか?」
・オホナムチは答えかねると思い、ミホサキにいるクシヒコ(コトシロヌシ)に雉(伝令)のイナセハギ※を派遣した
・イナセハギが天(中央政府)への対応を問うと、クシヒコは笑顔で答えた
・「私はスズカ(真直ぐ)な気持ちです、父母にこう伝えてください
・ホロロと泣けども臣たる我らはチノタヰ(針に掛けられた鯛)なのです
・副の身である臣として威勢を極めるだけ愚かなことです
・タカマは民のヱミスタヰ(笑す尊)、すなわち民は喜んでタカマに仕えているのです
・このように甚だ畏しい詔には、従うことが道理でしょう
・故に、父が退けば諸共に出雲を去りましょう」
・イナセハギはすぐに帰ってコトシロヌシの意向を伝えた
・そこで、オホナムチは「私には、もう一人の子がいる」と言おうとすると、その間にタケミナカタ※が現れた
・タケミナカタは千引岩を捧げて言った
・「裏でコソコソと我が国を脅す者がいるようだな
・出てこい、私と力比べして決めようではないか」
・タケミナカタが そう言い放つと、タケミカツチが巨大な千引岩を捕らえて投げ捨てた
・タケミナカタは忽ち恐れを無し、シナノウミ(諏訪湖)にまで逃げて行った
・しかし、とうとう追い詰められ、タケミカツチが「すわ(さぁ)」と言ったことに恐れをなして こう言った
・「私を助けてくれ、そうすれば 此処から外に出ず、背かないことを約束しよう」
・そういうと、タケミカツチは助けて その場を立ち去った
・そして出雲のオホナムチに再び問うと、ついに子供たちの言う通りに出雲を二守(フツヌシ・ミカヅチ)に差し出した
・その際、オホナムチに二守にこう言った
・「我が子が去れば、私も去ろう
・しかし、今後も逆らう者が出るかもしれない
・その時は我がクサナギの矛で平らすとよい」
・オホナムチは そのように言ってクサナギの矛を譲ると、出雲から去って行った
※「剣を地に植える」という行為は「埴を直き祀る」に対応し、精錬した金属を土に入れて「土地の穢れを祓う呪術」とされる
用語解説
・カフツチノツルキ:タケミカツチがハタレ討伐の報償として受けた剣を指す
・イナセハギ:天の降伏要求を伝えた雉(伝令)
・タケミナカタ:オホナムチの子で、出雲から逃げた後は諏訪のクニカミとなった(と思われる)
原文(漢字読み下し)
・イヅモキツキに
・曲治(かふつち)の 剣(つるき)を植(う)えて
・うつくまり 詰(なち)り問(と)ふなり
・みほこりて 欺(あさむ)く道(みち)を
・平(なら)さんと 我(われ)ら仕(つか)ふそ
・その心(こころ) ままや否(いな)やや
・オホナムチ 応(こた)え問(と)わんと
・ミホサキの 連(つり)へ雉子(ききす)の
・イナセハギ 天(あめ)の応(こた)えを
・問(と)ふ時(とき)に コトシロヌシか
・笑(ゑみ)す顔(かほ)
・我(われ)涼(すす)かにて
・父母(たらちね)に ホロロ泣(な)けとも
・鉤(ち)の鯛(たゐ)そ さかなと極(き)るも
・愚(おろ)かなり タカマは民(たみ)の
・笑(ゑみ)す尊(たゐ) いとかけまくそ
・御言宣(みことのり) 我(わ)か父(ちち)退(さ)らは
・諸共(もろとも)の 返言(かえこと)なせは
・また一人(ひとり) ありと言(い)ふ間(ま)に
・現(あら)はるる タケミナカタそ
・千引岩(ちひきいわ) 捧(ささ)けて誰(たれ)か
・我(わ)か国(くに)を 忍(しの)ひ忍(しの)ひに
・威(おと)さんや 出(い)て我(わ)か力(ちから)
・比(くら)へんと
・取(と)る手(て)も岩(いわ)の
・ミカツチか 捕(とら)へて投(な)くる
・葦萱(あしかひ)の 恐(おそ)れて逃(に)くる
・シナの海(うみ) すわと言(い)ふ時(とき)
・畏(かしこ)みて 我(われ)を助(たす)けよ
・この所(ところ) 他(ほか)えは行(ゆ)かし
・背(そむ)かしと 言(い)えは助(たす)けて
・立(た)ち帰(かえ)り
・問(と)えは応(こと)ふる
・オホナムチ その子(こ)のままを
・二守(ふたかみ)へ 我(わ)か子(こ)退(さ)りにき
・我(われ)も退(さ)る 今(いま)我(われ)退(さ)らは
・誰(たれ)かまた 敢(あ)えて平(な)れなん
・者(もの)あらし 我(わ)かクサナギの
・この矛(ほこ)に 平(な)らし給(たま)えと
・言(い)ひて退(さ)る
現代語訳文の目的・留意点
・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
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