現代語訳

ハテツミ※弟君(ヤマサチヒコ)に自らの子を紹介した
 ・それは、トヨツミヒコトヨタマヒメ※タケツミヒコオトタマヒメ※であり、皆して弟君を拝んだ
・また、弟君はツクシ32県の守を集めて「私は妻を迎えたいと思うが、皆どう思う?」と問うた
・すると、ホタカミが このように申し上げた
 ・「以前、御子下りを請う時、弟君の名もツクシヲキミとなりました
 ・つまり、弟君はツクシのアマツカミであります
 ・昔、母君(アシツヒメ)天君(ニニキネ)と一夜契り、その後に召されました(一悶着あった)
 ・故に、まず計画を立てるのが賢明でしょう」
・このような進言から、カゴシマ宮に遷ることになった
 ・そして、トヨタマヒメを御后とし、スケ・ウチ・シモメを二人ずつ娶って六局を成した
・このように調えば、その翌3日にトヨツミが玉笠を揃え、玉椀を六人に持たせて水を捧げた
・そして、皆 声を揃えて歌わせた
 ・『モモヒナキ 交ぐ合い後の 3日の日の 川水浴びて ウチヒニの 上から下へ 花婿に水 参らせふ 参らせふ』
 ・(モモヒナキは性交の後 3日以内に川水を浴びウチヒニとなった、なれば花婿の上から下に水を捧げましょう)
・このように32県の守らも歌い、この場をうんと楽しんだ
・この後、以前のニニキネの御幸によって築かれた井堰を以って、皆が実心を添えて新田を成した
・また、弟君はツクシ32県を巡り恵んで、カゴシマ宮に座した

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用語解説

・ハテツミ:ソヲの国守で、トヨタマヒメの父。『記紀』でいう海神、トヨタマヒコに当たる
・トヨタマヒメ:ハテツミの娘で、ヒコホオテミの内宮、またウガヤの母。『記紀』でいうトヨタマヒメに当たる
・オトタマヒメ:トヨタマヒメの妹で、ヒコホオテミの臨時の后となった。『記紀』のタマヨリヒメに当たる

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原文(漢字読み下し)

・ハテツミは 君(きみ)に申(もふ)さく
・我(わ)か子(こ)とて トヨツミヒコと
・トヨタマ姫(ひめ) タケツミヒコと
・オトタマ姫(ひめ) 連(つ)れ率(い)て君(きみ)お
・拝(おか)ましむ

・君(きみ)はツクシの
・守(かみ)集(あつ)め 我(われ)妻(つま)入(い)れん
・諸(もろ)如何(いか)ん 時(とき)にホタカミ
・申(もふ)さくは 先(さき)に請(こ)ふ時(とき)
・君(きみ)の名(な)も ツクシの央君(をきみ)
・これここの 和(あま)つ尊(かみ)なり
・お任(まか)せに

・昔(むかし)母君(ははきみ)
・天君(きみ)に 一夜(ひとよ)契(ちき)りて
・後(のち)に召(め)す 君(きみ)ます諮(はか)る
・尚(なお)好(よ)しと カゴシマ宮(みや)に
・移(うつ)ります

・トヨタマ姫(ひめ)お
・御后(みきさき)に スケ・内(うち)・下侍(しもめ)
・二人(ふたり)つつ 六局(むつほね)も成(な)り
・調(ととの)えは その翌三日(あすみか)に
・トヨツミか 玉笠(たまかさ)揃(そろ)え
・玉椀(たままりも) 六人(むたり)に持(も)たせ
・水(みつ)捧(ささ)く 声(こえ)お揃(そろ)えて

・モモヒナキ 交(ま)く合(は)ひ後(のち)の
・三日(みか)の日(ひ)の 川水(みつ)浴(あ)ひて
・ウヒチニの 上(かみ)から下(しも)ゑ
・花婿(はなむこ)に水(みつ)
・参(まい)らせふ 参(まい)らせふ

・この時(とき)に 三十二県(みそふあかた)の
・守歌(うた)い 万(よろ)と楽(たの)しむ

・然(しか)る後(のち) 先(さき)の御幸(みゆき)の
・堰(いせき)みな 実心(みこころ)添(そ)えて
・新田(にいた)成(な)す ツクシ三十二(みそふ)の
・巡恵(みめく)りて カゴシマに坐(にま)す

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります