現代語訳

・(アマテルは続けた)
・「オモタル※の御代の末より、稲穂が細くなって稲の育ちが悪くなった
・そのため、(アマテルの御代に)ツキヨミ※を召して、ヒヨウルタネを持つウケモチの元に派遣することにした
 ・そこでツキヨミウケモチの元に向ってみれば、現地には丸屋(粗末な屋敷)があり、そこに迎え入れられた
・すると、ウケモチは肥(糞尿)の注ぎ桶(柄杓)の口で米を煮始めた
 ・また、田畑に行って肥の掛かったスズナを手籠に入れて来て、スズナ汁を作り始めた
・そして、その二品をたくさん用意して、ツキヨミをもてなした
 ・これにツキヨミは激怒し、「卑しく唾吐く穢れたものと交われるか」と言った
 ・そして、剣を抜いて7代目ウケモチを打ち殺した
・この後、ツキヨミは帰ってアマテルに事の次第を報告した
 ・すると、アマテルは「お前のような反れた者とは顔を合わせたくない」と言い放った
・これによってツキヨミは政を離れ、アマテルの補佐から失脚した("マツリハナレテヨルキマス"とある)」

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用語解説

・オモタル:オオトノチの後を継いだ六代目の君
・ツキヨミ:イサナギとイサナミの御子であり、『記紀』でいうツクヨミに当たる

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原文(漢字読み下し)

・オモタルの 末(すえ)に穂細(ほほそ)と
・なる故(ゆえ)に ツキヨミ遣(や)りて
・潤繁種(うるそたね) 得(ゑ)んと到(いた)れは
・丸屋(まるや)にて 地(くに)に迎(むか)えは
・注(つ)き桶(おけ)の 口(くち)より米(よね)の
・飯(いゐ)炊(かし)く

・園(その)に迎(むか)えは
・肥(こゑ)掛(か)くる 手篭(てこ)に入(い)れ来(き)て
・スズ菜汁(なしる) 百々(もも)たくわえて
・御饗(みあえ)なす

・ツキヨミ怒(いか)り
・卑(いや)しきの 唾吐(つはは)く穢(けか)れ
・交(か)わんやと 剣(つるき)を抜(ぬ)きて
・打(う)ち殺(ころ)し 返言(かえころ)なせは
・大御神(ををんかみ) 汝(なんち)逆(さか)なし
・合(あ)ひ見(み)すと 政(まつり)離(はな)れて
・揺(よ)るきます

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります