現代語訳

・今の宮造りの法について、オオクンヌシ※(クシヒコ)はこのように考えた
 ・木は逆さまにすれば頭は下となる、これ故に棟を以って屋根とする
  ・葺くのは"やね"、すなわち、覆うのは屋の棟だが、これは実は根である
  ・もし、柱を接げば上は根(源)となる、根(源)は立ち接ぐべきではない(源に手を加えない)
  ・"ム"のタミメのように軒から棟に手を合わし、"ム(下・隅)"を接ぎ"根(上・中)"と成す
 ・棟木も同じく、末は接ぐべし
  ・張り(春)の根(源)は冬、故に伸び栄えるのは末である
  ・末で接ぎ、根には接いではならない
 ・日挿し(窓)は覆って東・南に指せ
  ・シトミ(蔀)は臣のトノヲシヱ(調の教え)の如く、通りを見る
 ・火の鎮めに、戸の開閉を擦り合わし、下を敷居(鴫居)、飢えを上居(鴨居)と成す
  ・鴫は水田の鳥、戸は潮、開閉に鳴けば戸の響きに潮が鳴る(潮騒)、その上に鴨船が通る
  ・水鳥の火の鎮めを為す鴫鴨居、ここにタツタノカミを埋めて守護と為す
 ・かつ、山入り(入山)は"ツヱ(西上)""サヱ(南上)"である
  ・"キ(東)""ヲ(央)"の2つは忌まれると、"ヱト"に記す
 ・アメアカルヒ(陽陰分る日)は万事に良し、屋造とはこれである

※棟(むね):家屋の頂上を横に突き通す木、また屋根面が交差する分水部分を指す

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用語解説

・オオクンヌシ:"宮造り法"と"埴纏りの法"を定めたクシヒコを指し、漢字では「大地主」「大国主」を指すと思われる

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原文(漢字読み下し)

・これにいまする

・今(いま)の宮(みや) 大地主(おおくんぬし)の
・考(かんか)えは 木(き)は逆(さか)しまに
・頭(かしら)下(した) 故(かれ)棟(むね)を以(も)て
・屋根(やね)となす 葺(ふ)くはやね根(ね)そ

・もし柱(はした) 接(つ)かは下接(しもつ)け
・上(かみ)は根(ね)そ 根(ね)は立(た)ち接(つ)かす
・ムのヲシテ 軒(のき)より棟(むね)に
・手(て)お合(あ)わす ム接(つ)き根(ね)と成(な)す

・棟木(むなき)模(も)し  末(すえ)は接(つ)くへし
・根(ね)は接(つ)かす 張(は)りの根(ね)は冬(ふゆ)
・鬱(うつ)き末(すえ) 末(すえ)は接(つ)くへし
・根(ね)に接(つ)くな

・日挿(ひさ)しは覆(おお)ひ
・東(き)・南(さ)に指(さ)せ 蔀(しとみ)は臣(とみ)の
・調(と)の教(をし)え 通(とほ)るを見(み)るそ

・火(ほ)の鎮(しつ)め 戸(と)の開(あ)け閉(た)てに
・擦(す)れ合(あ)えは 下(した)を鴫居(しきゐ)と
・上(うえ)鴨居(かもゐ)

・鴫(しき)は田(た)の鳥(とり)
・戸(と)は潮(うしほ) 鳴(な)る戸(と)の響(ひひ)き
・潮(うしほ)鳴(な)る 上(うえ)に鴨船(かもふね)

・水鳥(みつとり)の 火(ほ)の鎮(しつ)めなす
・鴫鴨居(しきかもゐ) ここにタツタの
・守(かみ)埋(ゐ)ます

・且(か)つ山入(やまい)りは
・ツヱサヱそ キヲの二(ふ)は忌(い)む
・ヱトに染(そ)む 陽陰(あめ)分(あか)る日(ひ)は
・万事(よろつ)好(よ)し 屋造(やつく)りはこれ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります